2017 Fiscal Year Annual Research Report
富栄養化精密予測に向けた土壌コロイド粒子に存在するリンの化学形態と生物利用の連関
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15H04467
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 剛己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30262893)
山口 紀子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 上級研究員 (80345090)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン |
Outline of Annual Research Achievements |
農地から水域へのPの流入には,土壌中の鉄水酸化物の一種であるフェリハイドライト(ferrihydrite)が大きく寄与していると考えられる.ferrihydriteはPとの親和性が高く,農地に人為的に肥料として供給されるPを高濃度に吸着し,その粒径特性から降雨などによって水域へ移動しやすい特性を有するためである.しかし,水域へ流入したferrihydrite-Pの藻類への影響は明らかにされていない.本研究では,ferrihydrite-PをP源とした培地で近年ろ過障害の原因となっているSynechococcus sp.を培養し,ferrihydrite-Pが藍藻の生育に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究を実施した.P飢餓状態で培養後の藍藻Synechococcus sp.に対して,ferrihydrite-P濃度を変えて添加した2処理区(+FhP区,+1/2FhP区),溶存態Pのみ添加した区(+P区)およびP無添加区(-P区)の計4処理区を藻類培養区として設定した.培養期間中の最大増殖量(クロロフィルa濃度)は,+P区 > +1/2 FhP区 > -P区 > +FhP区の順に高値を示した.この結果は,ferrihydriteに吸着したP(ferrihydrite-P)が藻類の増殖にほとんど利用されないことを示している.それに加え,ferrihydrite-Pは培地中の藻類や栄養塩と吸着することで藻類の増殖速度および藻類の増殖量を低下させていると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の進捗はほぼ計画通りであり、学会での成果を発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌から流域への富栄養化に関わる物質移動に中核的な役割を果たしている水分散性コロイドに着目し,それらの量と主要な元素の組成、ならびに化学形態を規定する要因をバルク土壌と比較して明らかにし,土壌によって異なるコロイド粒子の安定性に関わる要因を明らかにすることを目的とする。土壌から水分散性のコロイドを分画し、それについて化学分析を実施していく。
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Research Products
(3 results)