2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative genome analysis of Bursaphelenchus xylophilus in introduced and native areas.
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15H04521
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
秋庭 満輝 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 泰生 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20353659)
神崎 菜摘 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70435585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マツ材線虫病 / マツノザイセンチュウ / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
マツ材線虫病(マツ枯れ)の病原体であるマツノザイセンチュウは、病原性等の生態的特性や集団遺伝学的に高い種内変異を持っている。また、原産地である北米では形態的に異なる系統(M型とR型)の存在が知られているが、その詳細な研究例は少ない。本研究では、1)マツノザイセンチュウの原産地である北米大陸産の複数の系統の株を対象に、それらの生態的特性・分類学的位置を明らかにし、ゲノムレベルで日本産の株と比較することにより、その種としての進化史を明らかにすること、2)日本国内に蔓延している系統の集団遺伝学的特徴を明らかにすることを目的としている。 本年度は、ゲノム解析に用いる国内の株を選択するために、マツノザイセンチュウの集団遺伝学的解析を行った。研究室で保存されているマツノザイセンチュウの株についてすでに開発されているマイクロサテライトマーカー16座について多型性を調べたところ、うち13座で2~7個の対立遺伝子座が認められた。そのうちヌルアリルが多いなど解析に不適なものを除く9座について解析したところ、材線虫病被害の歴史の古い西日本の方が東・北日本よりも多様性が高い傾向があった。また、沖縄島を対象に新たに分離されたマツノザイセンチュウについて同様な解析を行ったところ、沖縄島という一つの島においても過去に複数回のマツノザイセンチュウの侵入があった可能性が示唆された。これらの結果を元に、地理的・遺伝的に多様になるように国内株28株を選択し、これらと北米株6株の全ゲノムシークエンスを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保有している機器(DNAシークエンサー)の故障のため全ゲノム解析に供する線虫株の絞り込み(選択)が遅れたことから、本年度の研究期間を延長した。その結果,マツノザイセンチュウの国内株のマイクロサテライトマーカーによる解析が終了し,その結果を元に全ゲノム解析に供する国内株を選択することが出来た。これらと北米産の株の1回目の全ゲノムシークエンスが完了したことから、おおむね順調に進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ゲノムデータの精度を高めるために、マツノザイセンチュウの一部の株について全ゲノムシークエンスを実施してデータを追加しする。得られた全ゲノム配列からSNP等を探索して系統解析を実施し、国内株と北米株を比較することにより国内株の起源などを推定する。 保有している機器の故障のために本年度の研究期間を延長したが、次年度はおおむね計画に沿って遂行する予定である。
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Research Products
(2 results)