2016 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマスを由来とする強靭で透明な新規多孔体の機能解析と応用展開
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15H04524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 継之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90533993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 幸恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30301120)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セルロース / エアロゲル / キセロゲル / ナノカーボン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、CMFヒドロゲルから新規キセロゲルを形成しうる条件を見出すことができた。ヒドロゲルをエタノール、ヘキサンの順に溶媒置換し、得られたオルガノゲルをデシケーター内で蒸発乾燥させると、水から直接乾燥させたものよりも比表面積が著しく大きくなることが判明した。この結果は、表面張力の小さい溶媒(ヘキサン)を使用することで、乾燥時の毛管力が小さくなり、ゲルの収縮が抑えられたものと解釈できる。また、金属イオンでCMF間を架橋したヒドロゲルを調製し、同様にエタノール、ヘキサンと溶媒置換した後、デシケーター内で蒸発乾燥させたところ、さらに比表面積が向上していた。この結果は、金属イオンでCMF間をイオン架橋することで、ゲルの弾性率が上昇し、ゲルの収縮が更に抑えられたものと解釈できる。 また、平成28年度は、CMFエアロゲルから調製した新規ナノカーボンの構造解析まで研究を進めることができた。ヨウ素前処理したCMFエアロゲルを、管状電気炉を用いて窒素フロー下で500℃まで炭化した。それ以上の高温処理に供する場合は、その後、真空炉を用いて900℃、1700℃及び2450℃まで昇温して1時間処理した。炭化した試料は、元のエアロゲルから約80%線収縮した形状を有していた。処理温度が増加するとともに収率は低下し、不純物の脱離及び一部の炭素の揮発が確認された。空隙率は処理温度の増加とともに増加していた。電子顕微鏡解析では、全ての試料についてナノメートル径の繊維状構造が確認された。900℃までは、繊維内部で炭素網面が完全にランダムな配向を有しており、非晶質構造であった。1700℃まで昇温すると、炭素網面が曲面状に成長しており、部分的に2~3枚の層構造を有していることが確認された。2450℃まで昇温すると、炭素網面が平面に近づいており、層構造も5~7枚に増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した通りに、研究が進展しており、新たな知見を蓄積できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、平成29年度はCMFゲルを由来とする新規キセロゲル及び新規ナノカーボン構造体の機能解析に着手する。
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Research Products
(25 results)