2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞壁を炭素源かつ反応場とした、新奇な機作によるニューカーボンの創製
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15H04525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 幸恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30301120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 継之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90533993)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 木質科学 / バイオマス / 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリカ含有木材を炭化すると、フィラメント状炭素物質が細胞内腔に成長する。このフィラメントは、グラフェンが旋回円錐状に堆積した、炭素超分子である。この炭素フィラメントの成長には、従来の炭素材料製造と異なる特殊な反応条件を要したため、応用はおろか基礎物性の研究がこれまで殆ど進んでいない。木質細胞が、原料・反応場としてこの炭素フィラメント成長に適し、再現性よく製造できることをつきとめた。しかしながら、生成の機構に関する詳細は解明されていない。そこで本研究では、まずこの炭素フィラメントの生成機作への木質細胞の寄与についての解明を通し、植物バイオマス発のニューカーボン創製へ応用することを目指した。 当該年度は、ゲル法によってセルロース凝集体から人工的に足場を調整することで、フィラメント成長の機構に関する知見を得ることを目指した。しかしながら実験の結果、当初の予想に反してゲル濃度によって足場が均一に形成されないことが明らかとなり、研究遂行上、均一な足場で形状を変え、比較・検討することが不可欠であることから、足場調整にゲル濃度がどのように関わるか明らかにする実験を実施する必要を見出した。このように製造制御の不具合により、予備実験段階を抜けられず「研究方式の決定の困難」に直面したため、本格実験に踏み切り条件設定を幾通りにも降るようになると、炭化炉るつぼ、炭化炉断熱材などの消耗が予測されたので、これを物品費として繰越計上した。 一方で、異なる植物種で、生成するフィラメントの形態・サイズが異なることを見出した。これを利用して細胞特徴の比較により、フィラメント生成機構に関する考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画は、①種結晶足場の調整、②マイクロ空間の調整、③他のニューカーボン創製への応用の、3つのサブテーマから成る。上述のように、①において、セルロースゲル構造体の利用に関して想定外に検討を要したため、引き続き次年度への課題としたが、一方で異なるフィラメントの形態・サイズを与える植物種を見出したことから、実験を進めることができた。よって「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、セルロースゲル構造体の利用も含めたナノセルロース材料を活用した各種の結晶足場形成、および水ガラス含浸、シリル化等によるSiの分散程度の異なる試料調整等をテーマに遂行する。さらに③他のニューカーボン創製への応用へと進める。
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Research Products
(7 results)