2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H04548
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 元 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30466809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潮 秀樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50251682)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴 / 代謝フラックス / 組織培養 / 脂肪組織 / 魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
トラフグの筋肉は,主に未分化の筋衛星細胞と繊維状の筋細胞を含んでおり,ニジマスの筋肉ではさらに脂肪細胞が脂肪前駆細胞が含まれる。これらの事実および研究代表者らの過去の研究から,本研究では 1) トラフグの筋肉はエネルギー源として糖質に強く依存するが,ニジマスの筋肉は糖質および脂質をバランスよく利用できる,2) 魚類筋肉中の脂肪細胞は,周辺の筋細胞に遊離脂肪酸を提供するとともに,ホルモンを分泌して脂質代謝を制御している,という2つの仮説を検証することを目的としている。本年度は,核磁気共鳴(NMR)法を用いて両魚種の筋肉における糖質・脂質代謝フラックスを測定する方法および当該ホルモンの機能解析を行う方法を確立した。
対象魚筋肉から,糖質,アミノ酸などを含む低分子代謝産物を抽出し,NMR分析に供した。得られた多数のピークを,標準品との化学シフト値の比較,質量分析などを利用して同定した。さらに,安定同位体13Cで標識したグルコースを投与した対象魚を用いて同様の実験を行ったところ,グルタミン酸などに13C標識の移行がみられた。また,解糖系やトリカルボン酸経路の中間体はほとんど検出されず,各反応が極めて早く進行することがわかった。今後,時間依存的な13C標識量の変化率を測定することで,代謝フラックスを測定することが可能になる。
また,トラフグ肝臓で実績のあるex vivo組織培養法が,筋肉,脂肪組織など他の組織に適用可能であるかどうかを検討した。いずれの組織でも,摘出から24時間後にもホルモンに対する応答が確認され(市販のヒト成長ホルモンを使用),本法は筋肉中の脂肪細胞に由来するホルモンの機能解析にも適用可能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は手法の確立にかなりの労力を費やしたが,NMRによる代謝フラックスの測定および組織培養法はいずれも極めて新規性の高い手法であり,本課題の目的の一つである。次年度の解析に向けて不安はなく,本課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書の方針から大きな変更はない。確立したNMRおよび組織培養法を用い,エネルギー代謝の種間差に関わる研究を推進する予定である。
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Research Products
(3 results)