2015 Fiscal Year Annual Research Report
マルチユニット農業経営におけるミドルマネジメントに関する総合研究
Project/Area Number |
15H04555
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 洋憲 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80360387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勝也 滋賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20397938)
根本 圭介 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40211461)
井上 憲一 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60391398)
藤井 吉隆 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10463225)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農業経営 / ミドルマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,単一ユニット経営を含む,作業面積規模50ha以上の農業経営(主に水稲作)を対象として,統一調査票を作成して比較経営分析を行った。 対象地域として,東日本平坦地域,良食味地域,北陸・東海兼業地域,西日本中山間地域の中から10事例の水田経営を抽出し,経営概況,事業戦略,経営組織,作業ユニット,情報管理,政策対応,栽培管理といった項目について比較を行った。その結果,組織構造と機械利用効率の差について,農地集積においては集落営農が有利であるのに対して,機械の利用効率では,組織がシンプルであり,作業期間を長くとる傾向にある個別経営のほうが有利であることが示された。 栽培管理においては,千葉県佐倉市で,行政,加工業者,農家(JA以外出荷),改良区との意見交換をふまえて,飼料米と米粉に使用できる品種を選抜した。その結果,良食味品種(コシヒカリ,アキヒカリ)は問題ないが,多収品種において,収量が落ちるという地力低下問題の存在が示唆された。 中山間地域における水田経営について,島根県内の2事例における運営体制を比較した結果,集落内で完結するタイプとJAがコーディネイトするタイプの差異が確認できた。また,平坦地における水田経営について,秋田県,滋賀県内の2事例において,情報管理に特徴があることが示された。 さらに,政策対応については,経営規模の大きい農家ほど環境支払を受給しており,より柔軟かつ,環境保全と農業生産とが補完可能となる制度設計の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って複数地域での現地調査が実施され,それに基づく成果も公表されている。また,次年度の共通アンケート実施に向けた具体的調整もはかられており,順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,1)前年度の比較調査対象をもとに,異なる経営組織における従業員を対象とした意識調査アンケートを行い,経営者との意識の差異を明確にする。2)また,重点実証地域(福井平野,近江平野,新潟県魚沼地域,必要に応じて追加)における経営アンケート調査を実施する。調査項目は,事業内容,作業規模,農機具および作業のユニット数,経営組織,情報管理,政策対応,栽培管理に関する項目である。3)さらに、カリフォルニアのマルチユニット水田経営(Lundberg農場等を想定)を対象にヒアリング調査を行い,水田経営におけるミドルマネジメントの実態的かつ理論的な形態を析出する。
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Research Products
(10 results)