2016 Fiscal Year Annual Research Report
農産物貿易政策と農業政策の最適なポリシーミックスに関する数量経済学的研究
Project/Area Number |
15H04557
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 幸嗣 九州大学, 農学研究院, 教授 (20274524)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宣弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80304765)
狩野 秀之 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00423509)
高橋 昂也 九州大学, 農学研究院, 助教 (70757955)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 農業経済学 / 農産物貿易政策 / 農業政策 / ポリシーミックス / 数量経済分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、さまざまな国際交渉が我が国農業に与える影響を緩和し、我が国農業を持続的に成長させるために、限られた予算のもとで、いかなる農産物貿易政策と農業政策をどのような水準で組み合わせて講じるべきか、という最適なポリシーミックスについて、数量経済学的に解明し、具体的提言を行うことである。 今年度の主な研究成果は、次のとおりである。 1.昨年度開発した、農産物貿易政策と農業政策のポリシーミックスの効果を具体的かつ数量的に分析しうる農産物貿易の数量経済モデルを基に、実際の国際貿易のデータから各国市場の不完全競争度を具体的に計測する方法を開発した。 2.昨年度開発した上記の農産物貿易の数量経済モデルを基に、各国および世界全体の経済厚生(消費者余剰、生産者余剰、関税収入、輸出補助金支出および総余剰)を具体的に計測しうる方法を開発した。また、開発の過程で、従来応用されてきた純社会的ペイオフの概念に欠陥があることを明らかにした。 3.以上で開発した不完全競争度および経済厚生の計測方法を脱脂粉乳の国際貿易に適用し、各国市場の不完全競争度ならびに各国および世界全体の経済厚生を具体的に計測した。特に後者については、国際農業交渉の俎上に載っている我が国の関税割当制度が各国および世界全体の経済厚生に与える影響を具体的かつ数量的に明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各国ないし世界全体の経済厚生(消費者余剰、生産者余剰、関税収入、輸出補助金支出および総余剰)を数学的に最大化し、最適なポリシーミックスを求める方法については、開発の方向性(数学的な枠組み)は明らかにしたものの、具体的に定式化するまでには至らなかった。 しかし、以上の大前提となる各国および世界全体の経済厚生の計測方法については、当初の予定どおり、順調に開発することができた。そればかりか、以上の計測方法の適用については、当初の予定より早く遂行することができ、実際の農産物貿易政策に関する厚生経済分析まで具体的に行うことができた。 以上より、本研究は、おおむね順調に進展していると評価することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度完了することができなかった、各国ないし世界全体の経済厚生を数学的に最大化し、最適なポリシーミックスを求める方法について、次年度初めにも開発を完了する予定である。 次に、交付申請書において次年度予定している研究計画を、着実に遂行する予定である。
|
Research Products
(21 results)