2016 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類着床・妊娠維持におけるカルシウムオシレーションの生物学的意義の解明
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15H04584
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
伊藤 潤哉 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (30454143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 受精 / カルシウム / 胚着床 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,カルシウムオシレーションの意義を調べる目的で,ブタICSI時におけるカルシウム動態およびその後の卵の発生能を検討した.その結果,凍結や超音波処理といった刺激によりブタ精子頭部に含まれる卵活性化因子(PLCz)は流出してしまうこと,またその結果,ICSI後の胚発生能が低下してしまうことが明らかとなった.さらに,それら低発生能を示す卵では,カルシウムオシレーションが十分に誘起されていないことも明らかとなった.一方で,パーコールを使って精子を選別することで,よりPLCz量の多い精子のみを回収することができること,またそれらの精子をICSIに用いた場合,高い胚発生能が期待できることも明らかにした.これらのことから.ブタにおいても卵活性化因子であるPLCzが受精時のカルシウムオシレーションを誘起すること,またカルシウムオシレーションが胚発生能と密接に関わっていることが明らかにされた. 一方,近年の研究で哺乳類の受精時に一過性の亜鉛イオンの細胞外放出(亜鉛スパーク)が起こることが報告され,カルシウムオシレーションと同様に哺乳類の受精に重要であると考えられている.そこでカルシウムオシレーションの意義とともに亜鉛スパークの役割にしても検討を行った.亜鉛イオンは亜鉛輸送体を介して細胞内外に輸送されることから,哺乳動物卵において亜鉛輸送体が発現しているか否かについて分子生物学的に検討を行った.その結果,哺乳類で現在知られている亜鉛輸送体のいくつかは,マウス卵においてもmRNAおよびタンパク質レベルで発現していることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受精時のカルシウムオシレーションとともに亜鉛スパークが重要であることが報告されているが,実際に哺乳類卵で亜鉛トランスポーターが発現していることを確認できた.さらに,遺伝子改変ブタの作製についても現在進行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
PLCzノックアウトマウスおよびブタの作製を試みる.またカルシウムオシレーションの生物学的意義を明らかにする目的で卵子特異的な亜鉛輸送体のノックアウトマウスを作製し,解析を行う予定である.さらに異なる活性化処理を行った卵の個体への発生能についても引き続き検討する予定である.
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Research Products
(1 results)