2016 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ局在水チャネル機能阻害による腎障害発症機序のシステム生物学を用いた解析
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15H04594
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
池田 正浩 宮崎大学, 農学部, 教授 (60281218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アクアポリン / AQP11 / システム生物学 / 活性酸素 / NOX2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)タンパク質-タンパク質間相互作用ネットワークの構築、(2)分子カスケードの抽出、(3)実証研究の3つを実施することにより、AQP11機能阻害による腎障害発症メカニズムを明確にし、腎疾患の病態生理の理解の促進とそれに基づいて将来的に創薬につながるシーズを見出そうとするものである。 平成27年度には、(1)の研究および(2)の基礎的な研究を実施し、AQP11ノックアウトマウスの腎において、NOX2による活性酸素経路、およびアポトーシス経路の2経路を障害に関与する経路として抽出した。そこで、平成28年度には、(2)の検証実験と(3)の2項目の研究を実施した。 (2)に関しては、平成27年度に抽出した2つの経路のうち、アポトーシス経路は様々な要因によって活性化することが知られているため、アポトーシス経路の上流に位置し、腎障害に特異性が高いと考えられるNOX2による活性酸素経路に焦点を当てて解析した。その結果、タンパク質レベルでもNOX2による活性酸素経路が活性化していることが分かった。さらに、興味深いことに、この経路の活性化は浸潤細胞によってもたらされることも観察した。 (3)に関しては、AQP11に関連した遺伝子改変動物の作製を行ったが、表現型が安定せず、この動物を用いて解析しても研究が進捗しないことが考えられたため、AQP11と同様の表現型(腎嚢胞形成など)を示すpcyマウスを用いて解析した。その結果、pcyマウスにおいても、AQP11ノックアウトマウスと同様に、NOX2による活性酸素経路、およびアポトーシス経路が活性化していることを観察した。 次年度においては、抽出したNOX2による活性酸素経路が妥当であるかどうかについてpcyマウスを用いて薬理学的な手法を用いた実証研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り平成28年度終了時点までに、AQP11機能阻害による腎障害発症経路をタンパク質レベルで明らかにし、また、同様の表現型を示す動物においても、その障害経路が活性化していることを確認した。以上の成果を勘案して、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進捗しているので、今後も計画通りに研究を進める。
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Research Products
(5 results)