2016 Fiscal Year Annual Research Report
生胚内個別染色体動態解析および染色体操作による次世代胚操作技術の確立
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15H04605
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 英二 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (80443034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長友 啓明 山梨大学, 総合研究部, 特任助教 (30746813)
若山 照彦 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40360672)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発生工学 / 染色体 / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、初期胚中の染色体を可視化するため、ドナー細胞となるES細胞の染色体可視化方法を検討した。ES細胞中の染色体を可視化するためにsuntag systemを採用した。suntag systemは、短いペプチドの繰り返し(24xGCN4)で標識し、Tagを細胞内で発現させた蛍光標識抗体で検出すると言う方法である。本手法を用いることにより、通常は蛍光が弱くラベルしても識別が困難な染色体においても、比較的明確な蛍光ラベルが可能となることが予想される。はじめに129B6 系統のES細胞にdCAS9-24xGCN4を発現するベクターおよびGCN4の蛍光標識抗体(scFV-eGFP)を発現するベクターとテロメア特異的配列を用いたgRNAをエレクトロポレーションにより導入し、細胞中に蛍光シグナルが検出できるかを検討したところ、多数の蛍光シグナルが細胞中にドットとして確認できた。次に特定の染色体をラベル可能か検討した。具体的にはオスであることを確認したES細胞にY染色体上の特異的配列より設計したgRNA, dCAS9-24xGCN4発現ベクターおよびscFV-eGFP発現するベクターの三種類をエレクトロポレーションにより導入した。その結果、細胞内に一つの蛍光シグナルを観察できた。このことは本システムを用いることにより、各染色体上の配列をもとに設計したgRNAを使うことで任意の染色体が可視化可能であることを示している。今後はこの細胞株をドナー核として核移植胚を作製し、初期胚での単一染色体操作による性転換を行っていく。しかしながら、導入効率が低いため、レンチウイルス等による導入方法も合わせて検討するとともに、複数の染色体をラベルする方法についても検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は年度途中で研究代表者が異動となり、研究環境が変わったため、本来の予定をこなすことが困難となった。しかしながら、本計画に必須かつ重要な単一染色体のラベル方法をES細胞株で構築することができたことは、本研究計画実現に向けて重要な成果と考えている。また、初期胚での染色体操作による性転換を行う上で使用を予定していた細胞株からクローン個体が得られることも確認できているため、今後はこれら技術を合わせることで研究計画を滞りなく推進できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クローン個体が作出できることが確認された核型XOのES細胞株および今回作製したY染色体標識ES細胞株を用いて、初期胚での染色体操作による性転換、染色体操作された胚の個体発生能を検討していく。さらに複数の常染色体についても蛍光標識し、ラベルされた染色体の動態をライブセルイメージングにより解析する予定である。加えて最終年度であるため、これまでのデータをまとめて、論文執筆を行い国際誌に発表する予定である。
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Research Products
(1 results)