2015 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の成虫原基の成長発達を誘導する内分泌メカニズムの解明
Project/Area Number |
15H04610
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
溝口 明 愛知学院大学, 教養部, 教授 (60183109)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 克将 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10372525)
塩見 邦博 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70324241)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 昆虫 / 成虫原基 / エクジステロイド / IGF様ペプチド / シグナル伝達経路 / 変態 |
Outline of Annual Research Achievements |
完全変態昆虫の成虫器官は成虫原基が変態期に急速に成長発達して形成される。この過程は20-ヒドロキシエクジソン(20E)により誘導されると考えられてきたが、その分子機構はほとんど分かっていない。一方、我々は最近、カイコガのIGF様ペプチド(BIGFLP)を発見し、これが成虫原基の成長に重要な役割を果たす可能性を示した。そこで本研究では、20EとBIGFLPが成虫原基に対し協調的に働くことで成虫器官が形成されるとの仮説のもと、主に生殖器原基に焦点を当て、成虫器官形成のホルモン調節の全容を解明することを目標としている。27年度は、両ホルモンの作用の特徴と関連、さらにそれぞれのシグナル伝達経路について解析した。主な成果を記す。 1.20EとBIGFLPのそれぞれが生殖器原基の成長に及ぼす効果をin vitroで解析した。BIGFLPは主に組織タンパク質量の増加を、20Eは組織タンパク質量の増加および組織の伸長(形態形成)を促進することが明らかとなった。両者を同時に投与すると、タンパク質量の増加が相乗的に増加した。BIGFLPは20Eによる組織の伸長を促進しなかった。 2.両ホルモンのシグナル伝達経路を解明するため、シグナル伝達阻害剤をホルモンと組み合わせて投与し、成長促進に対する阻害効果を調べた。BIGFLPの作用はPI3キナーゼ経路の阻害剤により、20Eの作用はMAPキナーゼ経路の阻害剤により阻害され、それぞれの経路の関与が示唆された。これら経路の関与は、BIGFLP投与によりAKTのリン酸化が、20Eの投与によりERKのリン酸化が促進されることにより確認された。 3. CRISPR/Cas9法によりBIGFLP遺伝子欠失変異体を作出した。第0世代では特別な表現型の異常は見られなかった。現在、第二世代での表現型解析を目指し、複数の変異体系統を継代飼育中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた実験のほとんどが予定どおり終了した。結果も期待どおり、あるいは想定内のものであり、研究は順調に進んでいると言える。エクジステロイド不活性化酵素の注射実験は時間の都合で手がつけられなかったが、これは28年度早々に始める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度に実施できなかった実験を含め当初の計画どおりに研究を進める。28年度はカイコガを使用して以下の1)-4)を実施するほか、並行して、ショウジョウバエを使った比較研究を行う。 1)前年度に作出したBIGFLP遺伝子欠損変異体の表現型解析 2)エクジソン不活性化酵素の注射によるエクジソンシグナル抑制と表現型解析 3)エクジステロイドとBIGFLPのシグナル伝達経路間のクロストークの解析 4)エクジステロイドの作用が膜受容体を介して発現する可能性の検証
|
Research Products
(7 results)
-
-
[Journal Article] Isoform-specific expression of the neuropeptide orcokinin in Drosophila melanogaster.2015
Author(s)
Chen, J., Choi, M.S., Mizoguchi, A., Veenstra, J.A., Kang, K., Kim, Y.-J., Kwon, J.Y.
-
Journal Title
Peptides
Volume: 68
Pages: 50-57
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Disruption of diapause induction by TALEN-based gene mutagenesis in relation to a unique neuropeptide signaling pathway in Bombyx.2015
Author(s)
Shiomi, K., Takasu, Y., Kunii, M., Tsuchiya, R., Mukaida, M., Kobayashi, M., Sezutsu, H., Ichida, M., Mizoguchi, A.
-
Journal Title
Scientific Reports
Volume: 5
Pages: 15566
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-