2016 Fiscal Year Annual Research Report
膨大な害虫発生予察調査データから読み解く昆虫の適応進化
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15H04613
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山中 武彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター 環境情報基盤研究領域, 上級研究員 (50354121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 純 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 虫・鳥獣害研究領域, 主任研究員 (20391211)
佐藤 安志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門 茶業研究領域, ユニット長 (80355619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 世代サイクル / チャノコカクモンハマキ / ウェーブレット / 病害虫発生予察事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
既に収集済みのデータに加えて、宮崎県・熊本県・京都府内9地点を加えた16地点のチャノコカクモンハマキ長期発生予察データについて、時系列解析を行った。今年度はウェーブレット再構築という新しい手法を使って、年変動の影響を差し引いた世代サイクル(ガの一世代が完了する期間のサイクル)をデータから再構築し、世代サイクルの強さと温度の関係を調べた。その結果、チャノコカクモンハマキは南は鹿児島県南九州市から北は埼玉県入間市まで、非常に固定化された世代周期を強く持っており、温度が高くなるほど周期性が強くなる結果となった。これは温度が高くなるほどシステムが不安定化し世代サイクルを形成する内的な密度制御要因が働いていることを示す証拠であると考えられる。一方、外的な気候要因、特に越冬ステージが限定されていることで、春先の世代の斉一化している場合には、温度上昇とともにサイクル強度は減衰すると考えられる。 また、静岡県島田市で、人工飼料を入れたバイアルビンに様々な齢期の幼虫を接種し、自然温度条件に放置して冬越しさせ冬期死亡率を測定したところ、少数の若齢幼虫が生き残っただけで、その他の齢期の幼虫は越冬が難しいことが示唆された。 室内では、温度一定22.2℃、日長条件17L:7Dで、3反復の長期飼育実験を行った。まず、40日間にわたって2日おきに20卵を導入して初期の導入の影響が出ないように配慮した。引き続き新しい個体を導入せず、7ヶ月間2日おきに卵数、蛹数、成虫数をカウントしたところ、2つの反復で顕著な世代サイクルが認められ、残る1つの反復でも最初の4ヶ月間でサイクルが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
室内実験では、飼育用恒温器を複数用意することができず、飼育に割ける労力にも限界があったため、温度一定22.2℃、日長条件17L:7Dを3反復しか出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は新たに飼育用恒温器を一台購入し、作業を合理化・簡略化することで室内飼育実験を強力に進める予定である。
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Research Products
(3 results)