2016 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジアの砂漠化地域における生態系サービス再生を促進する植生修復技術の開発
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15H04617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大黒 俊哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70354024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 典和 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20202385)
山田 晋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30450282)
小柳 知代 東京学芸大学, 環境教育研究センター, 講師 (80634261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生態系サービス / 生態系修復 / 砂漠化対処 / ファシリテーション / 草原再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中国内蒙古自治区フルンボイル市郊外の流動砂丘上に設定した2つの試験区(刈り取り残渣を活用した砂丘固定試験区および、在来牧草種の混播による草原再生試験区)において、植生・土壌回復に関するモニタリング調査を実施した。また、試験区において気象観測および飛砂観測を継続して実施し、植生修復技術の砂丘固定効果を評価した。 (1)刈り取り残渣を活用した砂丘固定:平成27年度は干ばつのため草方格建設用の刈取り残渣を十分に確保できなかったため、本年度に再度、刈取り残渣用の植物の栽培を行ったうえで、草方格による砂丘固定試験区を建設し、永久調査区において、出現種の種名、個体数、被度、植物高等を計測するとともに、全個体を標識して記録した。また、エロージョンピンの露出高を測定し、風食の程度を把握した。さらに、試験区内の代表的地点で気象観測(気温・湿度、土壌水分、風向、風速等)および飛砂観測を行った。 (2)在来牧草種の混播による草原再生:平成27年度に建設した試験区内の永久調査区において、前年度と同様に、播種種であるイネ科多年草2種(Elymus sp、Agropyron sp)、マメ科灌木1種(Caragana sp)の計3種の成長・生残状況をモニタリングし、観測データを蓄積した。その結果、Elymus spは播種直後には成長が顕著となる一方、Caragana sp 、Agropyron spはElymus spと比べて初期の成長は緩慢であったが、次第に植被率を増加させるとともに、侵入・定着種の種多様性も高めることがわかった。また、各処理区の代表的地点で気象観測および飛砂観測を継続して行った結果、混合播種区では他の処理区と比べ、全体の植被率が速やかに回復し、風食が顕著に抑制されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、共同研究者および現地カウンターパートと十分な打合せに基づいた現地観測及び解析作業を継続している。サブテーマ1については、平成27年度に干ばつのために実施できなかった刈取り残渣用植物の採取を平成28年度に行うことができ、全体的な進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ1、2ともに、調査観測を継続し、観測データを蓄積したうえで、得られた調査観測データ、植物体の栄養価および土壌理化学性分析結果等から、刈り取り残渣の利用による砂丘固定・植生回復促進効果および在来牧草種の混播による在来植生への回復促進効果を定量的に評価する。これらの結果を踏まえ、関連学会(日本生態学会、日本造園学会等)でシンポジウム等の研究集会を開催し、上記2つの環境修復・植生復元手法の有効性と導入の可能性について議論を深める。
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Research Products
(11 results)