2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecluar ecological analysis of nitrogen fixation mechanism in the symbiotic microbial community of sweet potato
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15H04620
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
池田 成志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 大規模畑作研究領域, 上級研究員 (20396609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関山 恭代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品分析研究領域, 主任研究員 (60342804)
菊地 淳 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (00321753)
小林 有紀 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター 畑作研究領域, 上級研究員 (00729519)
小林 晃 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター 畑作研究領域, 上級研究員 (90626954)
鶴丸 博人 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (60545226)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 窒素固定 / サツマイモ / 共生細菌 / 多様性 / 16S rRNA遺伝子 / NMR / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
都城市で栽培された収量性の大きく異なる2品種のサツマイモの茎、塊根表面、塊根内部について、共生細菌群集のメタゲノムDNAを調製し、16S rRNA遺伝子を標的としたパイロシークエンシングによる共生細菌の多様性解析を行った。その結果、各組織ともに、サツマイモの共生系はプロテオバクテリア、特に既知の他の植物種との比較において、アルファプロテオバクテリアのグループが非常に多く優占化した群集構造を有していることが示唆された。また、多様性については、過去の他の作物種の分析結果等から予想されたように、塊根表面、茎、塊根内部、の順番で小さくなることが明らかにされた。 さらに、上記の非培養法による多様性解析と対応する形で、高収量性の品種の各組織から、共生細菌の大量分離培養を行った。組成の異なる各種培地上での低栄養培地を使い、3個体のサツマイモの茎、塊根表面、塊根内部から各組織あたり約200株以上、2年間で約2000株の分離培養株を得た。これらの全分離菌からゲノムDNAの抽出を行い、16S rRNA遺伝子の前半約500塩基の領域を標的としたワンパスによるダイレクトシークエンシングを行った。その結果、上記の非培養法による多様性解析の結果と同様に、過去に知られている植物共生系の細菌群集構造と比較して、各組織の分離菌においてもアルファプロテオバクテリアのグループが多い傾向が観察された。 これらの結果からサツマイモ共生系はアルファプロテオバクテリアが比較的優占化しやすい環境であることが示唆された。以上から、サツマイモ共生系の窒素固定の役割を担う菌群の特定のため、アルファプロテオバクテリアのグループを中心に種レベルまでの下位の系統群の多様性解析を検討中である。また、共生微生物の多様性解析と対応する形でのサツマイモ組織のNMR分析も順次進め、共生細菌の多様性と代謝物の多様性の相関を検討する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度後半に共生細菌の各種の多様性解析のためのDNA抽出・精製に必要な細胞破砕装置を集中的に使ったため、消耗品部分が破損し、その修理のための海外からの部品の取り寄せに時間がかかったため、非培養法及び培養法の両方での多様性解析が当初の計画よりも若干遅れた。現在は修理済みのため、特に年度前半に注力し遅れを取り戻す予定。
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Strategy for Future Research Activity |
非培養法による多様性解析において、収量性の異なる品種を比較することにより、高収量性のサツマイモ品種に特徴的な菌群を特定する。また、昨年度とは異なる低栄養性培地を用いて共生細菌を分離し、窒素固定に寄与する可能性が高い低栄養条件で増殖する多様な菌群の分離培養をさらに進める。高収量性品種に特徴的な分離培養された菌群を中心に、窒素固定活性の測定を行う。また、共生細菌による窒素固定の場としての可能性は低いものの、最近発表された論文において、葉組織中にも低酸素分圧の局在を示唆する報告されたことから、初年度のサンプリング時に虫害が激しく採取できなかった葉組織についても今年度にサンプリングを行い、葉組織についても窒素固定細菌の存在の可能性を検討する。上記の多様性解析に対応する形でサツマイモの各組織の代謝物を分析し、微生物多様性と代謝物多様性の相関も検討する。
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Research Products
(4 results)