2015 Fiscal Year Annual Research Report
安全・簡便・短工程有機合成を指向した遷移金属触媒反応の開発
Project/Area Number |
15H04634
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
眞鍋 敬 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (00251439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 英之 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (20565618)
山口 深雪 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (70548932)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機反応学 / 触媒反応 / 有機合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品をはじめとする有用化合物の化学合成法では、毒性の高い反応剤をしばしば使用しなければならないことなど、解決すべき問題点が多い。本研究は、安全・簡便・短工程有機合成の実現を目指して、①安全・簡便有機合成の実現を指向した、毒性ガス(特に一酸化炭素及び二酸化硫黄)の代替化合物を用いるパラジウム触媒反応の開発研究、及び②短工程有機合成の実現を指向した、位置選択的活性化を活用する多段階ワンポット触媒反応の開発研究、の2つを行っている。 平成27年度の研究では、まず、一酸化炭素の代替化合物を用いるアルデヒドの効率的合成法の改良に取り組んだ。その結果、50 mmolスケールでの反応を高い再現性でかつ安全に実施できる手法を確立できた。さらに、不活性Csp2-H部位での反応によるケトンの合成を、一酸化炭素の代替化合物を用いて検討した。その結果、反応に有効な添加剤を見出すことができ、種々の基質で収率よく目的生成物が得られる手法を開発できた。また、二酸化硫黄の代替化合物を用いる環状スルホンアミドの合成法の開発研究を行い、中程度の収率ではあるが、種々の置換基を有する基質で生成物が得られるようになった。今後、さらなる改良を目指す計画である。 位置選択的活性化を活用する多段階ワンポット触媒反応の開発研究としては、DHTP-Pd触媒を用いる二置換ベンゾフラン及びインドールの合成法の改良を行い、添加剤として第四級アンモニウム塩を用いることで、種々の基質で収率よく生成物が得られるパラジウム触媒反応を確立できた。本手法により、2,4-、2,5-、2,6-二置換ベンゾフラン及びインドールを、入手容易かつ安価な出発原料から、短工程で簡便に合成することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由から、研究はおおむね順調に進展している、と考えている。 まず、計画していた反応のうち、一酸化炭素の代替化合物を用いるアルデヒドの効率的合成法と、不活性Csp2-H部位での反応によるケトンの合成を、ほぼ確立することができた。一方で、他の求核剤を用いるケトン合成や、エステル、アミド、チオエステルの合成では、手法の確立には至っておらず、今後、引き続き検討する計画である。 二酸化硫黄代替化合物を用いるスルホンアミド合成では、再現性よく中程度の収率で生成物が得られる方法を開発できた。これは新規な反応であり、この手法を見出したことは大きな成果であると考えている。一方で、収率の改善が今後の課題となる。 また、位置選択的活性化を活用する多段階ワンポット触媒反応の開発研究としては、当研究室で開発した触媒であるDHTP-Pd触媒を活用することにより、二置換ベンゾフラン及びインドールの簡便・短工程合成を開発できた。研究成果は現在、論文投稿中である。一方、多置換ベンゼン類のワンポット合成法の開発には至っておらず、今後、さらに検討していく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究はおおむね順調に進展しているため、計画の大幅な変更はない。平成28年度は、当初の計画内容、及び、平成27年度中に完全には達成できなかった部分に取り組む。
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Research Products
(15 results)