2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光ラベル法の開発と生細胞における膜タンパク質ヘテロオリゴマー検出技術の確立
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15H04636
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00201773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 健一 京都大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (70732874)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 低分子で自発的に構造形成をするβヘアピン型プローブペプチドの合成 32残基からなるβヘアピン型プローブペプチドをデザインし、その蛍光(Alexa568)標識体をFmoc固相合成法で合成し、逆相HPLCで精製し、MALDI質量分析で同定した。当初、合成はかなり困難であったが、配列の見直しや合成法の工夫を繰り返し目的を達成した。 (2) ペプチドの物性評価 βヘアピン型プローブペプチド(非標識体)を水に溶かし、その二次構造を円二色性スペクトルで評価したところ、228 nm付近に正のピーク、212 nm付近に負のピークを認めたことから、βヘアピン型構造を取ることを確認した。 (3) コイルドコイルラベル法に対する干渉性 E3タグを付加したβ2アドレナリン受容体を発現したCHO細胞に100 nMで蛍光(Alexa568)標識βヘアピン型プローブペプチドを加えても細胞膜表面が染色されなかった。さらに50 nMのAlexa568標識K4ペプチドを追加して添加したところ、E3タグを付加したβ2アドレナリン受容体が蛍光標識されたことから、当研究室で開発したコイルドコイルラベル法に対する干渉性および膜への非特異的な吸着性が無いことを確認することが出来た。さらに、βヘアピン型プローブペプチドと相互作用すると予想されるタグ配列をデザインし、これをN末端に付加し、EYFPをC末端に付加したβ2アドレナリン受容体の発現系の構築に取りかかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の交付申請書で掲げた目標の9割以上は達成できたと考えている。申請書では、タグ-プローブ間で最適な親和性を持つペアを発見することまでを目標としていたが、現段階ではタグ配列の最終決定には至っていない。しかしながら、9割以上の達成度であると自己評価したのは、プローブの配列が決まれば相互作用するタグの配列は自ずと決まると考えられるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
タグをN末端に付加し、EYFPをC末端に付加したβ2アドレナリン受容体の発現系を構築する。細胞膜への発現確認には、EYFPの蛍光分布およびβ2ドレナリン受容体の蛍光リガンドを用いて行う。また、アゴニスト添加による下流シグナルおよび内在化を確認して、タグ付加による受容体への悪影響がないことを示す。その後、蛍光色素Alexa Fluor 568およびAlexa Fluor 647で標識したプローブを濃度を変えながら添加し、プローブ濃度に対して細胞膜上の蛍光強度をプロットした飽和曲線から、親和性の指標となる解離定数Kd値を算出する。既存のコイルドコイルラベル法が持つKd値(4~6 nM)と比較して、近似値が出れば実験目標は達成されたことになる。逆に、Kd値に数倍以上の開きがある場合は、タグおよびプローブのデザインを変更して、目標の親和性を持つペアが見つかるまで同じ実験を繰り返す。 早期に候補ペアが見つかれば、ヘテロオリゴマー解析の実験系確立に移行する。
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