2016 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光を用いる光音響法によるがんの生体分子イメージング法と治療法の開発
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15H04637
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 紘平 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (00546476)
木村 寛之 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50437240)
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (80336180)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 光音響法 / 近赤外光 / 光線照射療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、臨床利用に優れた性質を有する近赤外光を利用した光学的手法による、新しい効率的ながんの診断-治療のワークフローシステム(セラノスティック(Therapy + Diagnostic)法)構築のために、近赤外光を吸収して超音波を発生する光音響効果を生じるがん集積型化合物(分子プローブ)を創製し、それを用いて、現在の光イメージング法の課題である体深部のイメージングを可能とする新規がん分子イメージング法(光音響イメージング法)、及び、その光音響シグナル発生過程で生じる熱による細胞死滅作用を利用したがん治療法を開発することにある。これにより、新規分子標的診断・治療法を提供し、がんの診断・治療の発展に寄与し得る。 今年度は、前年度に引き続き、高感度化を目指した光音響シグナルユニットの開発および光音響シグナルユニットを腫瘍部位へ送達しうるがん標的認識ユニットの最適化について検討した。 光音響シグナルユニットを腫瘍へ送達するキャリアとして、水溶性ポリマーのひとつであるポリオキサゾリン(POZ)に着目し、その側鎖であるアシル基を酸により加水分解することにより生じた第二級アミンにインドシアニングリーン(ICG)を複数分子導入したプローブを設計、合成した。プローブの腫瘍集積性に対するPOZの分子量、加水分解割合、ICG導入数の影響を調査した結果、分子量50 kDa、加水分解割合5%、ICG導入数約8個の条件で最も良好な腫瘍集積性を示した。また、ポリマー1分子あたりのICG導入数が増加するにつれて、ICG濃度あたりの光音響シグナルは増加することを見出し、高感度化の可能性を示した。最適化されたプローブを用いて、光音響イメージング実験を実施した結果、腫瘍部位を明瞭に描出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、光音響シグナルの高感度化につながる新たな化合物の設計方針を見出し、それに基づき合成した、ICGを複数分子導入したPOZ誘導体を用いて、腫瘍部位を高いコントラストで明瞭にイメージングすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、腫瘍部位への高い集積性を認めた、水溶性ポリマーを母体とするプローブ(ICG標識POZ、ポリエチレングリコール)、ヒト血清アルブミン、酸化鉄粒子などを用いて、近赤外光照射により熱を発生させる条件について最適化する。その条件で、治療実験を実施し、腫瘍増殖抑制効果、生存率の延長の可能性について評価する。これにより、光音響法に基づく新たな診断・治療法としての可能性を評価していく。
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Research Products
(3 results)