2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04640
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宗 孝紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60294964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 祐子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50624475)
石井 直人 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60291267)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫学 / 炎症 / サイトカイン / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、従来TNF受容体型分子のシグナル伝達に関わるTNF-receptor associated factor 5 (TRAF5) が、サイトカインのシグナル伝達分子であるgp130に結合し、IL-6依存的なSTAT3の活性化を阻害することを見出した。TRAFファミリータンパク質は哺乳類で6種類存在するが、TRAF5以外のTRAFファミリー分子がgp130シグナルを抑制する可能性があった。平成27年度は、他の5種類のTRAFがTRAF5と同等の活性をもつかについてCD4+ T細胞の分化の観点から検討した。 gp130を発現するBAF細胞株およびマウス脾臓より精製したナイーブCD4+ T細胞を用いて、TRAFファミリー分子の過剰発現およびノックダウンの影響を調べた結果、TRAF2にTRAF5と同様の活性を検出した。すなわち、TRAFドメインを介するgp130への結合能、IL-6依存的なSTAT3のリン酸化やTh17分化に対する抑制能である。しかし、CD4+ T細胞におけるこれら分子の発現パターンは異なっていた。ナイーブCD4+ T細胞におけるTRAF5の発現量がTCRシグナルにより減弱したのに対し、TRAF2の発現量の大きな増減は認められなかった。したがって、TRAF5のIL-6受容体シグナルに対する抑制能はCD4+ T細胞分化の初期に顕著となるのに対し、TRAF2は分化の後期においてもその抑制能を発揮できることがわかった。これに対応して、Traf5-/- CD4+ T細胞に発現するTraf2をノックダウンすることで、そのTh17分化能がさらに亢進した。以上から、TRAF2がTRAF5と同等の機能を示すことでTh17分化を制限する機構を初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-6受容体シグナルおよびTh17分化におけるTRAF2の新規機能に関して論文発表することができた。平成27年度の研究実施計画に掲げた目標は概ねクリアできており、平成28年度も計画通りに研究を進展させることができると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、IL-6受容体以外のgp130ファミリーサイトカイン受容体シグナルに対するTRAF5およびTRAF2の機能解析を行う。また、Traf5-/- マウスに肺炎や腸炎を誘導することで、TRAF5が炎症サイトカインシグナルに具体的にどう重要かについて研究実施計画に記載した方法に準じて検討する。
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Research Products
(5 results)