2016 Fiscal Year Annual Research Report
損傷乗り越え型DNAポリメラーゼ・イータの立体構造に基づく機能解析と阻害剤の開発
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15H04646
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
花岡 文雄 学習院大学, 理学部, 研究員 (50012670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNAポリメラーゼ / 損傷乗り越え合成 / DNA損傷 / 紫外線感受性 / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに生化学的な解析を行ったヒトPolηの点変異体を発現するベクターを導入したXP-V細胞(XP2SA SV3)について、コロニー形成法による紫外線(ultraviolet: UV)感受性および6-チオグアニン(6-TG)耐性による突然変異率の測定を行った。XP-V細胞に野生型ヒトPolηを発現させた場合、ポジティブコントロールであるWI38 VA13細胞とほぼ同じUV感受性を示した。同様にXP-V細胞にヒトPolη W42A、W64A、W64S、L378Gを発現させた場合、程度の差はあるもののいずれも野生型ヒトPolηを発現させた場合に近いUV感受性の回復が見られた。一方、XP-V細胞にヒトPolη L378Aを発現させた場合には、UV感受性が高いままであった。このことは、in vitroでの生化学的な解析結果から予想されるのとは逆の結果であり、大変興味深い。UV誘発突然変異率に関しては、XP-V細胞に野生型ヒトPolηを発現させた場合とW42A変異体、W64A変異体、L378A変異体を発現させた場合とで、いずれもXP-V細胞とは異なり、低い変異率しか示さなかった。また自然突然変異率はいずれの場合にも低かった。 組換えタンパク質の不溶性の問題から、解析が進まなかった欠失変異体ヒトPolηについては、N末にGSTタグを、C末にHisタグを付けることによって可溶性が増すことが分かった。 天然化合物のライブラリーからヒトPolηと結合する化合物をスクリーニングし、それらの中からポリメラーゼ活性を阻害するものを絞り込むことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生化学的解析と並んで、Polηの変異体を発現する細胞の解析からin vivoのデータを得た。それらを総合的に考察すると、in vivoではPolηが他のタンパク質と相互作用しているため、必ずしもin vitroのデータとは合致しない結果になった。さらに深く考察して、Polηの構造と機能についてもっと多くの知見を得ることが出来ると考える。その他の実験では、Polηと相互作用するタンパク質の同定の実験にやや手こずっているものの、その他の実験は着実に進んでおり、「(2) おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Polηと相互作用するタンパク質の同定が急務であり、そこに集中していく。これまでの結果から、DNA結合性のタンパク質がかなり邪魔をしているようなので、それらを除外するために試料中のDNAを分解する操作を加えるなどの工夫を試みる予定である。またPolη阻害化合物の探索もさらに進めていきたい。
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Research Products
(7 results)