2016 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of the role of glucagon in the crosstalk between glucose metabolism and amino acid metabolism
Project/Area Number |
15H04681
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 良敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (80420363)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | グルカゴン / アミノ酸代謝 / ニコチンアミド / ランゲルハンス島 / α細胞 / 糖新生 / 糖尿病 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにグルカゴン遺伝子欠損動物モデル(GCGKO)においてアミノ酸をブドウ糖へと変換する酵素群の発現が低下していることを明らかとしてきた。肝臓における遺伝子発現の日周性変動を4時間毎に解析した場合、GCGKOと対照群の間で、糖新生の主要酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼやグルコース6リン酸フォスファターゼの発現に、明らかな差が認められない時間帯があった。一方で、アミノ酸をブドウ糖へと変換する酵素群の発現は24時間を通して明確な差が認められたことから、グルカゴンがこれら酵素の発現維持に必須の役割を果たしていることが明らかとなった。また、同じくグルカゴンにより制御されるニコチンアミド代謝酵素の発現も、24時間を通して明確な差が認められた。このほかに胎児期・出生直後から離乳期のマウスにおいて同様に肝臓の遺伝子発現解析を行い、アミノ酸をブドウ糖へと変換する酵素群やニコチンアミド代謝酵素の発現の差は出産前の胎児では認められないが、出生24時間以降では差が認められることを確認した。 GCGKOはグルカゴン以外に、グルカゴンと同じくプログルカゴンを前駆体として合成されるGLP-1やGLP-2など複数のペプチドホルモンを欠損している。GCGKOにおける遺伝子発現異常がグルカゴンの欠損によるかを明確にするために、同モデルにグルカゴンを投与した上で遺伝子発現解析を行った。その結果アミノ酸・ニコチンアミド代謝酵素の発現異常がグルカゴンのみを補うことで回復することも確認した。 このニコチンアミド代謝酵素がグルカゴンの生理作用の一端を担っている可能性を検証するために、同遺伝子を改変した胚性幹細胞を樹立したうえで、キメラマウスを作成、さらに雑種第一世代を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、ニコチンアミド代謝酵素を改変したマウスの作成過程でキメラマウスの早期死亡が頻発したため、進捗に遅れが生じていたが、遺伝子ターゲティング方法を変更することにより、この問題は解決した。得られたマウスの交配は順調に進んでいる。また、この新規モデルを用いる実験以外の実験(日周変動の解析、グルカゴン投与実験)及び解析は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ニコチンアミド代謝酵素遺伝子改変マウスでは同遺伝子の二つの部分にloxP配列が挿入されているため、CREリコンビナーゼを発現するマウスと交配することにより組織特異的に同酵素を欠損するマウスを得ることができる。肝臓特異的、あるいは全身で同酵素を欠損するマウスを交配により得て、同酵素が個体の成長・生存に必要かの検証を進めたい。 このほかにグルカゴン遺伝子欠損動物モデルに対して、高蛋白質食を与えることによって、蛋白質あるいはアミノ酸摂取量の変化に対する生体の応答(グルカゴン分泌、膵臓α細胞の増殖、血中アミノ酸濃度の変化)を検証する。
|
Research Products
(12 results)