2016 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of cancer and aging by FoxO and investigation of compounds for regulation of FoxO
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15H04682
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
下川 功 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70187475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30509310)
朴 盛浚 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60635853)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 老化 / カロリー制限 / FoxO転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Foxo3遺伝子半欠失(+/-)食餌制限(DR)マウスでは、野生型(WT)DRマウスに比較して、ミトコンドリアのエネルギー代謝に変化があったので、平成28年度は、肝臓のメタボローム解析を行った。Foxo3 (+/-) DRでは、解糖系の代謝産物の減少、NADH/NAD+比の増加、乳酸/ピルビン酸比の増加がみとめられた。この結果から、Foxo3が半欠失した場合、DR条件下では、pseudo-hypoxicな状態にあることが示唆された。加えて、Foxo3 (+/-)マウスでは、GTP、GDPが増加していた。 ミトコンドリア膜電位を計測すると、WTでは、自由摂食(AL)マウスに比べ、DRでは低かったが、Foxo3(+/-)では、膜電位がWT-DRよりも高い傾向があった。これらの結果は、WT-DRの特徴であるミトコンドリアのuncouping機能がFoxo3(+/-)では低下していることが示唆された。平成27年度で行われたミトコンドリアの機能解析結果を加えて、DRによるエネルギー代謝の変容にFoxo3が必要であることが示唆された。 遺伝子毒性応答や発癌におけるFoxo3遺伝子の役割を明らかにする目的で、まず、Foxo1、Foxo3遺伝子欠失マウスの遺伝的バックグランドを統一するために、C57BL6マウスに戻し交配を行なった。実験群の準備が整い、発癌剤に対するDNA傷害と応答、酸化ストレスに対するGH-IGF-1系を中心とした細胞応答を検討する予備実験を行った。平成29年度に本実験を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミトコンドリアの機能解析のための試料調整が不安定な時がいくつかあり、その解析に時間を要した。Foxo1とFoxo3の欠失マウスの遺伝的バックグランドを統一するための戻し交配に時間を要した。これらの要因によって、遺伝子毒性応答と発癌などの平成28年度に開始される予定の実験が開始できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に開始できなかった以下の1)、2)の研究を開始する。さらに3)を開始する1)遺伝子毒性応答と発癌:発癌に関連する、遺伝子毒性応答を評価する。各系統のマウス(生後6ヶ月)にDENAを投与後、24時間、48時間、72時間で、マウスを屠殺し、肝臓組織を採取する。免疫染色された組織切片上で細胞死、細胞増殖を計測する。免疫染色によるγ H2AXを指標として、DNA傷害の指標とする。FoxO1、FoxO3, Mycの発現、細胞回転停止(p21, p27)、DNA修復(Gadd45a)、ストレス応答(SOD2、Gclc,など)、細胞増殖(Cdkなど)に関連する遺伝子、蛋白質の発現を比較する。また、肝細胞癌の発生に重要なGlycogen synthesis kinase (GSK)-3beta/ beta-catenin系の活性化を検索する。 2)白色脂肪におけるFoxOの役割:全身性および脂肪細胞特異的FoxO1 (+/-), FoxO3 (+/-)マウスの白色脂肪組織を用いて、p53とその下流にあるp21、TNFalphaを含む炎症性サイトカインの発現を免疫ブロット、定量的PCR法を用いて計測し、FoxO1, FoxO3の白色脂肪細胞の細胞老化抑制における役割を明らかにする。 3)FoxO1, FoxO3を活性化する化合物の同定:FoxO1、FoxO3を活性化する低分子化合物の同定を試みる。Venus(蛍光物質)で標識した FoxO1およびFoxO3 プロモーターベクターを作製する。その後、培養細胞へ遺伝子導入し、InCellAnalyzer 及び 384 プレート・ 30 枚程度で、9600 コアライブラリを用いたハイスループットスクリーニング(HTS)を行なう準備、アッセイ系を確立する。
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Research Products
(7 results)