2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳浮腫の新規治療法開発:アクアポリン4の調節機構と創薬基盤研究
Project/Area Number |
15H04688
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安井 正人 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90246637)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アクアポリン / 脳浮腫 / グリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的は、脳浮腫治療薬の開発である。脳浮腫は脳実質に過剰に水が滞留した状態をさし、頭部外傷や脳梗塞などの脳損傷に伴い発症する。脳浮腫が亢進すると頭蓋内圧が亢進し、二次的な脳損傷や脳ヘルニアを引き起こすため、脳浮腫の抑制は臨床上極めて重要である。しかしながら、現在まで脳浮腫の根治治療薬は存在せず、対症療法しか行われていないため、新たな治療薬が求められている。2000年、Manleyらにより、マウスの脳浮腫モデルにおいて、アクアポリン4ノックアウトマウス(AQP4KO)がワイルドタイプ(WT)よりも高い生存率を示すことが報告された。AQP4は水チャネルとして機能する膜タンパク質であり、脳内ではアストロサイトの足突起に限局して存在し、脳浮腫の亢進に関わると考えられている。そこで我々は、AQP4を創薬標的とした脳浮腫治療薬の開発を目指し、AQP4阻害剤の探索に取り組んだ。現在は、候補化合物の絞り込み作業が終了しており、今後は、候補化合物のAQP4阻害作用について、詳細な分析を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、AQP4阻害剤探索を行うため、AQP4の水透過能を簡便に測定することができるアッセイ法を開発し、スクリーニングを行った。化合物は、共同研究先である東京大学創薬機構の化合物ライブラリーを利用した。1次から3次スクリーニングまでは新規アッセイ法を利用し、その後、ストップトフロー試験を行った。ストップトフロー試験は精製AQP4を用いた測定法であり、化合物のAQP4作用を確認するために利用した。まず1次スクリーニングでは、215,191種の化合物について新規アッセイ法を用いて試験を行った(N=1)。次に、阻害作用が見られた3,154種について、1次スクリーニングと同様のアッセイ法で確認試験を行った(N=4)。その後、阻害効果が確認された746化合物について、3次スクリーニングを行い、アッセイの検出薬に作用する擬陽性化合物を候補から除外した。最終的に候補として138化合物を残し、ストップトフロー試験にて阻害作用を確認したところ、1つの化合物がAQP4阻害作用を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
候補化合物はAQP4特異的な阻害作用を持っている可能性が高いと考えられる。今後はストップトフロー試験を用いて、阻害薬のIC50を測定する。また、オオサイトアッセイなど、ストップトフロー試験以外の測定法を用いて候補化合物の阻害作用を確認する。その後、マウス水中毒モデルや中大脳動脈結紮モデルなどの脳浮腫発症モデルを用いて、In vivoでのAQP4阻害作用の確認を行う。
|
Remarks |
上記について、 ※研究者又は所属研究機関が作成した研究内容又は研究成果に関するwebページがある場合は、URLを入力してください。
|