2016 Fiscal Year Annual Research Report
直鎖状ユビキチン産生酵素(LUBAC)の相互作用因子探索と生理機能解析
Project/Area Number |
15H04694
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00212069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酵素 / タンパク質 / 細胞・ 組織 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で我々は、「直鎖状ユビキチン産生酵素(LUBAC)の相互作用因子探索と生理機能解析」として、LUBACユビキチンリガーゼ本体やこの酵素が特異的に産生する直鎖状ユビキチン鎖に相互作用する因子の生理機能解析を目指した。今年度の研究成果として我々は、まず直鎖状ユビキチン結合性UBANドメインを含有するoptineurin(OPTN)と直鎖状ユビキチンとの共結晶構造をX線解析によって解明し、OPTN-UBANが二量体を形成し、その両側に直鎖状ユビキチンが1分子ずつ結合していることを明らかにした。本研究で我々は、OPTNの直鎖状ユビキチン認識に重要なアミノ酸変異は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)発症のみならず、炎症や免疫制御に重要なNF-κB活性の抑制に関わることを明らかにした。さらに、OPTN欠損によってアポトーシスが亢進することから、OPTNが細胞死制御に関わることを明らかにした(Nakazawa et al., Nat. Commun., 2016)。また、我々は、LUBAC活性がウイルス発癌を制御し、直鎖状とK63型の混成ユビキチン鎖を生成することを見出した (Shibata Y. et al., PLoS Pathog., 2017)。そして最近我々は、LUBACサブユニットのうちHOIPがアポトーシスとともにカスパーゼによって特異的に切断され、基質タンパク質の直鎖状ユビキチン化状態が変化することを明らかにした(Goto E. & Tokunaga F., BBRC, 2017)。一方、細胞内で外来DNAのセンサーとして機能するDDX41について構造とインターフェロン産生能の相関も明らかにした(Omura H. et al., Sci. Rep., 2016)。このように我々はLUBACの機能制御に関わる細胞応答と病態への関与について広範で精力的な研究を推進している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように我々は、本年度の研究成果として、Nature Communications誌を始め、6編の原著論文を発表した。これらの研究を通して、当初の目的であるLUBACユビキチンリガーゼ複合体による直鎖状ユビキチン鎖生成の生理的・病理的重要性の解明を進めることができたと考えており、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までの研究成果をさらに進展させ、「新規LUBAC会合タンパク質群の細胞・個体レベルでの機能解析」として次の研究項目を解析する。 ① 各種細胞におけるLUBAC複合体の同定。LUBACによるNF-κB制御は細胞種差やヒトとマウスの動物種差があることが報告されているが、これは、LUBAC会合タンパク質の発現の多様性によってLUBACの機能が調節されている可能性を強く示唆している。そこで、Cas9/CRISPR法でLUBACサブユニットをノックアウトした各種細胞にエピトープタグを連結したLUBACサブユニットを入れ戻し、生化学的な精製を行う。 ② ノックアウトマウス作製による新規会合タンパク質の生理機能解析。LUBACに会合するタンパク質のうち、in vitroや細胞レベルの解析からNF-κB活性制御に関わることが判明した候補タンパク質について、ノックアウトマウスを作製し、表現型を解析するとともにNF-κBシグナル、自然・獲得免疫応答、アポトーシスなど関連する生理機能を解析する。既に我々は、3種のノックアウトマウスを構築しており、今年度はそれらの表現型解析に着手する。 ③ 新規抗炎症剤探索を目指したNF-κB活性阻害剤の探索。新規会合タンパク質の結合阻害剤や活性阻害剤を連携研究者とともに、無細胞タンパク質発現系でアルファスクリーン法を用いることで探索する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] HTLV-1 Tax induces formation of the active macromolecular IKK complex by generating Lys63- and Met1-linked hybrid polyubiquitin chains.2017
Author(s)
Shibata Y, Tokunaga F, Goto E, Komatsu G, Gohda J, Saeki Y, Tanaka K, Takahashi H, Sawasaki T, Inoue S, Oshiumi H, Seya T, Nakano H, Tanaka Y, Iwai K, and Inoue J.
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Journal Title
PLoS Pathog.
Volume: 13
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Reduced SHARPIN and LUBAC formation may contribute to CCl4- or acetaminophen-induced liver cirrhosis in mice.2017
Author(s)
Yamamotoya T, Nakatsu Y, Matsunaga Y, Fukushima T, Yamazaki H, Kaneko S, Fujishiro M, Kikuchi T, Kushiyama A, Tokunaga F, Asano T, and Sakoda H.
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Journal Title
Int. J. Mol. Sci.
Volume: 18
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Linear ubiquitination is involved in the pathogenesis of optineurin-associated amyotrophic lateral sclerosis.2016
Author(s)
Nakazawa S, Oikawa D, Ishii R, Ayaki T, Takahashi H, Takeda H, Ishitani R, Kamei K, Takeyoshi I, Kawakami H, Iwai K, Hatada I, Sawasaki T, Ito H, Nureki O, and Tokunaga F.
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 7
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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