2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアシグナルによる熱ショック応答の制御機構
Project/Area Number |
15H04706
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中井 彰 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252516)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧井 良祐 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00419558)
藤本 充章 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359900)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | シャペロン / 転写 / ストレス / ミトコンドリア / プロテオスタシス |
Outline of Annual Research Achievements |
HSF1と相互作用するミトコンドリアSSBP1による熱ショック応答の制御機構を、以下のとおり明らかにした。 1. ミトコンドリアSSBP1のHSP70発現誘導における効果:MEF細胞のSSBP1をノックダウンすることで、熱ストレスやプロテアソーム阻害剤等によるHSP70 mRNAの誘導が低下することを示した。内在性HSF1を相互作用変異体へ置換した場合も同様であった。2. SSBP1の熱ストレスによる核移行の共焦点レーザー顕微鏡による解析:内在性SSBP1および細胞へ導入したGFP-mSSBP1が熱ストレス処理により核内へ集積することを用いて明らかにした。3. SSBP1の核移行におけるHSF1の役割の解明:HSF1ノックダウンによりSSBP1は熱処理しても核移行しないことから、HSF1の核移行にともなってSSBP1が核へ運ばれることを示した。4. SSBP1核移行とミトコンドリアpermeability transition pore (PTP)の開口との関連:PTP開口を阻害するシクロスポリンA処理、そしてPTP複合体構成因子VDAC群のノックダウンによってSSBP1の核移行は抑制された。つまり、SSBP1核移行とミトコンドリアPTPが関連していることが分った。5. HSP70プロモーター上での転写複合体解析:熱ストレスによりHSP70プロモーター上にHSF1依存性にSSBP1が集積することを示した。6. HSF1-SSBP1複合体のターゲット遺伝子群の解析:SSBP1ノックダウンによりミトコンドリアHSPを含む一群のHSPの熱誘導が減弱した。つまり、SSBP1は全てのシャペロンの誘導に関与していた。また、それらのプロモーター上にはSSBP1が集積し、クロマチン再構成因子BRG1の集積を促進していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおよそ予定していた実験を行い、HSF1-SSBP1の熱ショック応答における役割と機能について一定の結論を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)新しいHSF1-SSBP1転写複合体の構成因子の同定:これまでの研究から、ストレス誘導性HSF1転写複合体に転写因子ATF1が含まれることを明らかにしている。そこで、SSBP1、HSF1、ATF1とも共沈降するタンパク質群を同定する。そのために、それぞれをFlag標識したタンパク質を発現させて熱ストレス処理したヒトHEK293細胞の抽出液を作成し、hHSF1、mSSBP1、mATF1と共沈降するタンパク質群を高感度質量分析により同定する。 2)HSP70発現を指標とする新規因子の機能スクリーニング:HSF1-SSBP1転写複合体に含まれると推測される上記の実験で同定された遺伝子群のノックダウン実験を行い、HSP70発現を指標とする機能スクリーニングを行う。予備的な実験により、RNA結合タンパク質で、RNAプロセッシングに関連するHNRNPK (Heterogeneous nuclear ribonucleoprotein K)が熱ショック応答を促進することが示唆されている。HNRNPKがどの因子と直接相互作用するか示し、相互作用変異体を同定し、それを用いてHSP70発現の促進効果を明らかにする。 3)新規因子のクロマチン構造に与える効果の解析:HSP70遺伝子のプロモーターのクロマチン構造やヒストン修飾をChIP-qPCR解析等で解析し、HNRNPKのノックダウンによる影響を調べる。それらプロモーターへのクロマチン再構成複合体群やヒストン修飾酵素群のリクルートについても同様にして調べる。また、HNRNPKのRNA結合能が遺伝子発現に影響あるかを調べ、影響あれば熱ストレス時に結合するRNAの同定を試みる。
|
Research Products
(16 results)
-
-
[Journal Article] Fatty acid-binding protein 7 regulates lipid raft formation in astrocytes through expression of caveolin-1.2015
Author(s)
Y. Kagawa, Y. Yasumoto, K. Sharifi, M. Ebrahimi, A. Islam, H. Miyazaki, Y. Yamamoto, T. Sawada, H. Kishi, S. Kobayashi, M. Maekawa, T. Yoshikawa, E. Takaki, A. Nakai, H. Kogo, T. Fujimoto, Y. Owada.
-
Journal Title
Glia
Volume: 63
Pages: 780-794
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Heat shock protein 90 associates with Toll-like receptors 7/9 and mediates self-nucleic acid recognition in SLE.2015
Author(s)
K. Saito, K. Kukita, G. Kutomi, K. Okuya, H. Asanuma, T. Tabeya, Y. Naishiro, M. Yamamoto, H. Takahashi, T. Torigoe, A. Nakai, Y. Shinomura, K. Hirata, N. Sato, Y. Tamura.
-
Journal Title
European Journal of Immunology
Volume: 45
Pages: 2028-2041
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Retinoic acid has the potential to suppress endometriosis development.2015
Author(s)
Y. Yamagata, E. Takaki, M. Shinagawa, M. Okada, K. Jozaki, L. Lee, S. Sato, R. Maekawa, T. Taketani, H. Asada, H. Tamura, A. Nakai, N. Sugino.
-
Journal Title
Journal of Ovarian Research
Volume: 8
Pages: 49
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Pathological brain development elicited heterogenous activation of stress responsive signaling under exposure to environmental stress.2015
Author(s)
Seiji Ishii, Alexander I. Son, Meenu Rajendraprasad, Yury Morozov, Mitsuaki Fujimoto, Kristen Brennand, Akira Nakai, Valerie Mezger, Fred Gage, Masaaki Torii, Pasko Rakic, Kazue Hashimoto-Torii.
Organizer
第88回日本生化学会大会・第38回日本分子生物学会大会
Place of Presentation
神戸国際会議場、神戸
Year and Date
2015-12-01 – 2015-12-04
-
-
-
-
-
-