2018 Fiscal Year Annual Research Report
奇形腫病理の機械学習解析に基づくヒトiPS・ES細胞のクリティカルエピゲノム同定
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15H04715
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梅澤 明弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, 副所長/再生医療センター長 (70213486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 雅士 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50392486)
中井 謙太 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60217643)
秦 順一 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 所長 (90051614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒト幹細胞 / 人体バイオリソース / 再生医療 / 泌尿生殖器・内分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度より継続して大規模オンライン機械学習を用いた奇形腫評価機械学習による奇形腫評価を行った。我々の利用するプラットフォームが搭載する最新の機械学習アルゴリズムでは数万個の特徴を用いた分類問題を解く事で、奇形腫組織像における豊富な情報をフルに活用可能である。従来までのバッチ形式を基盤とする解析手法では、バッチ毎に解析の値が変化するため、データセットが固定される問題があったが、データの追加時の処理が軽いオンライン処理を行うことで、機械学習を可能とした。ヒト幹細胞を用いた再生医療技術を臨床・治療、疾患研究、創薬、検査等に対して早期の実用化を図り国民への技術還元を行うと共に、安全性・有効性をより高めるための革新的なヒト幹細胞に関する研究開発を持続的に行うことが求められている。本研究では、奇形腫の病理組織像に対して機械学習解析を行い、そのデータを基盤として、多能性幹細胞のクリティカルエピゲノムを同定することを目標とする。奇形腫形成の過程や、細胞間、移植部位それぞれの相互作用を始め、奇形腫を構成する自然法則を明らかにし、多能性幹細胞による奇形腫がどのように創成されているかを構成的アプローチによって有機的なシステムとして解明することを目的とする。構成的システム病理学は、細胞、器官、多細胞体などを創成する仕組みや原理を解明するところに特徴がある。現在主流の要素還元的アプローチだけでは困難な、細胞や遺伝子の仕組みの解明が可能となる。従来までに蓄積されてきた科学研究、特に精巣、卵巣、脳に発生した奇形腫の形態情報を背景として、ヒト多能性幹細胞(iPS細胞、ES細胞)による奇形腫への科学的な理解、特にエピゲノム情報に対する新たな礎となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
豊富なヒトES細胞サンプルを用いて、ヒト多能性幹細胞におけるリプログラミング機構の一端を解明した。ヒトES細胞5株を含めた多数の多能性幹細胞を用いて網羅的DNAメチル化解析を行った結果、多能性幹細胞特異的DNAメチル化可変領域を同定し、それらの各遺伝子が新たな幹細胞エピジェネティクマーカーとして有用であることを示した。さらに、DNAメチル化というエピジェネティクスの側面からヒト多能性幹細胞のリプログラミング機構の一端を初めて明らかにした。これらの結果は、生物学のみならず、再生医療においてもヒト多能性幹細胞の規格化、標準化を進める重要な成果である。網羅的大規模データから独自の視点と解析方法でデータを解釈し、多数のiPS細胞を含めたヒト多能性幹細胞を多角的に比較解析して得られているため
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きヒト幹細胞、並びに分化誘導した細胞群に対し、illumina HumanMethylation450Kを使用した網羅的DNAメチル化解析、ChIP-on-chipを使用した網羅的ヒストンメチル化解析、網羅的遺伝子発現解析を行う。そのための適切なプロトコールを確立する。得られた解析結果のシグナル値を元にエピジェネティック・プロファイル評価システムにより解析するとともに、高品質バイオインフォマティックス解析系の構築に注力する
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Epigenetic-scale comparison of human iPSCs generated by retrovirus, Sendai virus or episomal vectors.2018
Author(s)
Nishino K, Arai Y, Takasawa K, Toyoda M, Yamazaki-Inoue M, Sugawara T, Akutsu H, Nishimura K, Ohtaka M, Nakanishi M, Umezawa A.
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Journal Title
Regenerative Therapy
Volume: 9
Pages: 71-78
DOI
Peer Reviewed / Open Access