2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of human norovirus receptor for developing of susceptible cell line
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15H04738
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
片山 和彦 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (60342903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 章 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (60397049)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ノロウイルス / レセプター / ネズミノロウイルス / ヒトノロウイルス / CD300lf, CD300ld / ヒト腸管オルガノイド / ヒトノロウイルス感受性細胞 / mRNAトランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトに感染するノロウイルス(HuNoV)は、冬型の急性胃腸炎、食中毒の原因ウイルスとして知られている。HuNoVは、感受性を示す培養細胞が無く、基礎的研究に困難を極めている。我々が開発したノロウイルスのリバースジェネティックスシステム(RGS)は、NoVの宿主特異性がレセプター依存的であることを示した(PNAS 111(38):E4043-52, 2014.)。HuNoVのレセプター分子が同定できれば、感受性細胞の樹立が可能となり、研究の障壁を取り払うことができる。 2016年度の本研究において、HuNoVの近縁なウイルスであるネズミノロウイルスのレセプター分子CD300lf, CD300ldの同定に成功した(PNAS 113(41):E6248-E6255, 2016)。CD300lf, ldのヒトホモログがHuNoVのレセプターである可能性を調べたが、その機能は有さなかった。HuNoVレセプター分子を検索するため、慶応大学の佐藤らより、ヒト腸管オルガノイド(HEO)の供与を受け、HEOを用いたHuNoVの増殖培養増殖系の開発に成功した(特願2016-163711)。2018年度は、特殊な蛍光標識ウイルス様中空粒子(VLP)を用いてHEOに含まれるHuNoV感受性細胞をラベルして分取することに成功した。感受性細胞と非感受性細胞のmRNAトランスクリプトームサブトラクション解析を実施し、転写変動2倍以上を示した遺伝子の内、膜タンパク質もしくはそれに関与するを18遺伝子を、HuNoVレセプター候補遺伝子としてピックアップした。これらの遺伝子のクローニング、ノックアウト用のgRNAの準備を進行させた。さらに、感受性細胞のcDNAライブラリーを作製し、株化培養細胞に導入してスクリーニングを行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に得られた成果、MNVのレセプター分子CD300lf, CD300ldの同定と株化細胞の作出を特許出願(特願2016-19315)し、論文投稿を行い(PNAS Oct 11;113(41):E6248-E6255, 2016.)パブリッシュした。HuNoVレセプター検索を実施するため、CD300lf, ld分子のヒトホモログがHuNoVのレセプターである可能性を調べたが、HuNoVレセプターとしての機能は有さなかった。しかし、MNVレセプターがタンパク質性のレセプターであったこと、NoVの宿主特異性がレセプター依存的であることが強く示唆されたため、HuNoVレセプター分子を検索するため、HuNoV感受生細胞の検索を実施した。慶応大学との共同研究により、ヒト腸管オルガノイドを用いたHuNoVの増殖培養を試み、これに成功した(特願2016-163711)。ヒト腸管オルガノイドの中に存在するHuNoV感受性細胞を特殊な蛍光物質をラベルしたVLPで検出することに成功した。感受性細胞をセルソーターによって非感受性細胞から分取し、2群間のmRNAを網羅的、且つ定量的に次世代シーケンサーによって検出した後、サブトラクションによって転写変動が2倍以上であり、膜タンパク質に関与する遺伝子選択することに成功した。これらの遺伝子の中にレセプター分子が含まれている可能性が高いため、遺伝子導入、ノックアウトなどの準備を進行させている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、ヒト腸管オルガノイドの中に存在するHuNoV感受性細胞を特殊な蛍光物質をラベルしたVLPで検出することに成功した。オルガノイドに含まれる感受性細胞を、セルソーターによって非感受性細胞から分取し、2群間のmRNAを網羅的、かつ定量的に次世代シーケンサーによって検出した後、両群間のサブトラクションによって転写変動が2倍以上であり、膜タンパク質に関与する遺伝子を選択することに成功した。これらの遺伝子の中にレセプター分子が含まれている可能性が高い。各候補遺伝子の感受性細胞からのクローニング、塩基配列に基づいたgRNAのデザインと作製を行い、遺伝子導入もしくは遺伝子ノックアウトを順次試行する。さらに、RGSを用いてプロジェニーウイルスを作製し、腸管オルガノイドへの感染実験を行ったところ、プロジェニーウイルス精製液に残留するトランスフェクション試薬の影響のため、オルガノイドがプレート底面から剥離することが明らかになった。この現象を回避するため、エレクトロポレーターを導入し、プロジェニーウイルスの作製を実施する準備を進めている。モデルケースとしてテストしているMNVのRGSでは良好な結果を得ており、HuNoVのRGSにおいても結果が期待できる。RGSにてオルガノイドより、感染性HuNoV粒子を回収可能となれば、自由にHuNoVの遺伝子改変が可能となり、スクリーニングを加速することも可能となる。2018年度は、昨年度の課題であった腸管オルガノイドの安定培養、供給も実現した。2019年度の研究期間内にHuNoVレセプター候補分子を得ることに期待が持てる。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Study of norovirus infection mechanism2018
Author(s)
Katayama K., Takai-Todaka R., Song C., Miki M., Fujimoto A., Yokoyama M., Miyazaki N., Iwasaki K., Murata K.
Organizer
U.S.-Japan Cooperative Medical Sciences Program (USJCMSP) 20th International Conference on Emerging Infectious Diseases in the Pacific Rim
Int'l Joint Research
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