2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H04747
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堀 昌平 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, チームリーダー (50392113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 自己免疫疾患 / 制御性T細胞 / 転写因子 / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ヒト自己免疫疾患IPEXにおいて同定されているFoxp3遺伝子変異(A384T)が非リンパ組織における制御性T細胞(Treg)の恒常性と機能を特異的に障害して自己免疫疾患を惹起することを見いだし、A384T Tregの組織環境における適応破綻はAP-1転写因子BATFの発現制御異常に起因することを明らかにした。本研究は、この発見を手がかりとして、Foxp3とBATFが組織環境、炎症環境におけるTregの適応性を制御する内因的メカニズムを明らかにし、組織環境がTregの適応性を制御する外因的メカニズムを解明することを目的とし、本年度は以下の研究項目につき研究を進めた。 1. A384T変異によるBATF発現制御障害メカニズム:我々は、A384T変異が他のforkhead (FKH)転写因子様のDNA結合特性を示すgain-of-function変異であり、A384T変異体がBatfプロモーター中のFKHモチーフ依存的にプロモーター活性を抑制することを見いだした。そのメカニズムとして、A384T変異体が他のFKH転写因子のDNA結合を阻害する可能性が考えられ、WT Treg, A384T Tregを用いてFoxo1のChIP-seq解析を行ったが、A384T変異体によってFoxo1のBatf等の標的遺伝子への結合は阻害されなかった。 2. Treg特異的BATF欠損マウスを作製し、致死性の自己免疫疾患を発症することを見いだした。 3. BATF欠損Tregと野生型TregのRNA-seq解析を行った。BATF欠損により一部のTreg signature genesの発現が障害され、それらは細胞移動に関わるパスウェイに属する遺伝子を有意に多く含んでいた。また、TregにおけるFoxp3およびBATF ChIP-seq解析を行い、それぞれの結合領域を全ゲノムレベルで同定した。Foxp3およびBATFは細胞移動に関わる遺伝子群に協調的に結合することを見いだした。 4. 樹状細胞特異的IRF4欠損マウスを作製し、Tregの表現型を解析し、肺においてTh2型の表現型を示すGATA3highサブセットがTreg、Tconv(通常型T細胞)両方において選択的に減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼすべての研究項目について、当初計画していた通り順調に進展している。A384T変異体によるBatf発現制御メカニズム異常の解析に関しては、当初予想していた仮説(A384T変異体による他のFKH転写因子の結合障害)を支持する結果は得られなかったため、仮説の再検討が必要になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
A384T変異体によるBatf発現制御メカニズム異常の解析に関しては、当初とは別の仮説を考える必要が出てきた。Batf転写に抑制的に作用する因子の動員、クロマチン修飾の変化などを考え、今後検討する予定である。他の項目についてはおおむね順調に進展しているので、予定通り計画を進めたい。
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Research Products
(7 results)