2017 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期早期の発達遅滞に関する、認知機能評価と脳MRIによる大規模追跡研究
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15H04771
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
武井 教使 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80206937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
岩渕 俊樹 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (20711518)
原田 妙子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (60525963)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達 / ADHD、ASD / 実行機能 / 脳機能イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我々が平成19年度より継続している浜松出生コホート研究(N=1,250)において、発達の遅れが認められた児の発達経過を認知神経科学的および脳機能イメージングの手法(近赤外線分光装置:fNIRS ;機能的核磁気共鳴画像:fMRI,)により追跡評価し、自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如多動性障害(ADHD)に特異的な発達軌跡の徴候を見出すことを目的としている。当初の研究計画では、MSEのスコアのLCGA 解析にてdelayed、marlkedly delayed 群 と分析された群を対象に、MRI 撮影を年一回ずつ行い経過を追跡する予定であったものの、MRI検査は子どもの被験者には負担が大きく同意を得られるのが困難であった。従って研究の従来の測定項目であったMRIによる脳画像評価を、近赤外光イメージング装置(NIRS)を用いた脳機能イメージング評価へと変換することとした。 評価は、ASDやADHD児の病態に関連が想定される複合処理能力を評価するためのマルチプルルールマネージメント課題を作成し、この課題中の脳内機構をNIRSを用いて成人と小児で機能の年齢的差異について検討する。その後、対象小児と定型発達小児との複合処理能力の差と関連する脳賦活についても検討する。 さらに、NIRSによる計測では、子どもへの 検査への負担を軽減できるものの、脳の深部領域の計測は不可能であるため、課題に関連する脳賦活領域の同定を成人(定型)の被験者を対象として実施し、課題に特異的な脳機能領域を特定するとともに、NIRSから得られたデータとの関連についても検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で予定していたMRI脳画像検査では、子どもへの負担も大きく、被験者の同意を得るのが困難なため、実験の進行の遅延が危惧されていた。しかし、この問題を解決する手立てとして、NIRSを用いて脳機能イメージングデータを得ることができたため、 子どもへの負担が軽減され、被験者の同意を得るのが比較的容易となり、研究が円滑に進めることができている。現在までに、48名の成人(定型)のデータ収集が終了し、小児の被験者データについても10名程が検査を終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在までに得られたデータから、成人の複合処理能力の評価と脳賦活領域との関連を検討する。その一方で、成人で計測したように、小児のデータ定型群と発達遅延群のデータの採取を継続して行う。これらから得られたデータをもとに、成人と小児の認知的な複合処理能力と課題処理中の脳内機構との関係および小児における定型発達群と発達遅延群の比較を行い、発達遅延群の徴候と複合処理能力を基にした脳機能発達との関連について明らかにしていく。
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Research Products
(4 results)