2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the regulatory mechanism of natriuretic hormone expression for oral heart failure drug development
Project/Area Number |
15H04820
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高島 成二 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90379272)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝野 仁裕 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60527670)
塚本 蔵 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80589151)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 心不全 / BNP / エンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウム利尿ホルモンは心臓から分泌され、心不全時にその発現が顕著に誘導される。そのため心不全重症度の分子マーカーとして広く臨床応用されているだけでなく、その利尿作用・血管拡張作用等により心不全治療にも使用されている。しかし心不全時におけるその発現誘導のメカニズムは意外なことに不明である。我々は、直接的にナトリウム利尿ホルモンを発現誘導させる薬剤を開発するために、心不全時のナトリウム利尿ホルモンの発現メカニズムを検討し、その誘導に重要な遺伝子部位の同定に成功した。 本事業は、同定された制御部位の狭小化を行ったうえで制御部位アッセイ系の高感度化、制御タンパク質の精製・同定、さらにこれらの活性制御につながるシグナル経路の同定を行い、ナトリウム利尿ホルモン活性化シグナル系を創薬標的とした新たな心不全治療薬の開発を行うことを目的として開始した。 同定したエンハンサー領域の2本鎖DNAをプローブとして、BNP産生刺激であるカテコラミンを投与した心筋細胞および圧負荷等を施した心臓組織からエンハンサー結合タンパク質の同定を溶液ショットガン法で行った。最終の結合タンパク質候補として残った10個のタンパク質をすべてアデノウイルスの発現ヴェクターに組み込み、組み合わせとサブトラクションによりBNP発現誘導に必要十分な3種のタンパク質の同定に成功した。残された課題はこれらの3種のタンパク質の活性化につながる経路を同定し、BNPの転写活性化へのシグナル因子を同定し心不全の治療標的とすることである。そのために、細胞のストレッチ実験系や圧チャンバーによる気圧上昇実験系など複数のBNP上昇系の確立に着手した。今後、BNP上昇につながる共通経路の同定を複数のシステムで進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
心臓負荷および心不全によって生体内でANPおよびBNPを上昇させる分子メカニズムは多くの研究がなされたにもかかわらず、いまだ不明であった。具体的には、細胞レベルでは遺伝子上流解析にてある程度確からしい部位が見つかっていたが、生体内の心臓負荷の状態では活性化されず、生体内で真にANP/BNPの産生を増加させている転写制御部位は不明であった。我々は本事業開始前に、心不全においてANP/BNP上昇にかかわるDNA領域が直列に並んだANP/BNP遺伝子領域の20kBpも上流の部位に存在し、ANP/BNP両方の転写活性に寄与することを世界に先駆けて明らかにした。本事業においては、生体内での高感度エンハンサー領域同定法の確立と、同定されたエンハンサー領域の狭小化を行った。そして、複数の実験系によりこの部位が生体内ので心不全状態でのANP/BNP発現に重要であることを明らかにした。さらに、28年度において質量分析装置を駆使した生化学的解析によりこのエンハサー領域に結合するタンパク質の同定に成功した。エンハンサーに結合し機能する分子の同定は本事業の最も重要なステップであり28年度に到達できたこととなる。今後はこれらのタンパク質の活性化につながる心臓独自のシグナル伝達経路の同定を行う。そのために必要な複数のANP/BNP産生増加系の確立を進める。最終年度にはシグナル分子の同定に至ると期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度に生化学的に複数同定されたエンハンサー結合タンパク質について、28年度にすべての因子のアデノウイルス発現系を構築した。組み合わせ等による転写活性のアッセイを培養心筋細胞を用いて行い、3種の転写因子の組み合わせがBNPおよびCR9レポーターの発現に必要十分であることが明らかになった。 そこで、29年度はこの転写因子の活性化に至るシグナル経路を明らかにし、心不全時のBNP誘導に至るシグナル経路の全容を明らかにする。 具体的には、細胞での従来のBNP発現誘導モデルであるカテコラミン添加系に加え、2種類のメカニカルストレス系を構築する。生体内では心臓の拡張末期圧とBNP値の高い相関が知られている。そこでメカニカルストレスによるBNP誘導の分子メカニズムを解明することにより、心不全の病態時のBNP上昇のメカニズムが明らかになると期待される。 そのうえで、メカニカルストレスを実際に細胞内に伝達する分子機構を明らかにするために、拍動を止めた状態でのエンハンサーアッセイ系の構築、メカニカルストレスを加えた時に分泌される分子の同定、ストレスにより活性化されるシグナル経路の解析を進める。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Alternative exon skipping biases substrate preference of the deubiquitylase USP15 for mysterin/RNF213, the moyamoya disease susceptibility factor.2017
Author(s)
Kotani Y, Morito D, Sakata K, Ainuki S, Sugihara M, Hatta T, Iemura SI, Takashima S, Natsume T, Nagata K.
-
Journal Title
Sci Rep.
Volume: 7
Pages: 44293
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Targeted Therapy for Acute Autoimmune Myocarditis with Nano-Sized Liposomal FK506 in Rats.2017
Author(s)
Okuda K, Fu HY, Matsuzaki T, Araki R, Tsuchida S, Thanikachalam PV, Fukuta T, Asai T, Yamato M, Sanada S, Asanuma H, Asano Y, Asakura M, Hanawa H, Hao H, Oku N, Takashima S, Kitakaze M, Sakata Y, Minamino T.
-
Journal Title
PLoS One.
Volume: 11
Pages: e0160944
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Adenovirus vector-based incorporation of a photo-cross-linkable amino acid into proteins in human primary cells and cancerous cell lines.2016
Author(s)
Kita A, Hino N, Higashi S, Hirota K, Narumi R, Adachi J, Takafuji K, Ishimoto K, Okada Y, Sakamoto K, Tomonaga T, Takashima S, Mizuguchi H, Doi T.
-
Journal Title
Sci Rep
Volume: 6
Pages: 36946
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Identification of the Mtus1 Splice Variant as a Novel Inhibitory Factor Against Cardiac Hypertrophy.2016
Author(s)
Ito S, Asakura M, Liao Y, Min KD, Takahashi A, Shindo K, Yamazaki S, Tsukamoto O, Asanuma H, Mogi M, Horiuchi M, Asano Y, Sanada S, Minamino T, Takashima S, Mochizuki N, Kitakaze M.
-
Journal Title
J Am Heart Assoc.
Volume: 5
Pages: e003521
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Btg2 is a Negative Regulator of Cardiomyocyte Hypertrophy through a Decrease in Cytosolic RNA.2016
Author(s)
Masumura Y, Higo S, Asano Y, Kato H, Yan Y, Ishino S, Tsukamoto O, Kioka H, Hayashi T, Shintani Y, Yamazaki S, Minamino T, Kitakaze M, Komuro I, Takashima S, Sakata Y.
-
Journal Title
Sci Rep.
Volume: 6
Pages: 28592
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant