2015 Fiscal Year Annual Research Report
間質病変の進展抑制におけるFSP1を介したポドサイトー尿細管上皮細胞連関の重要性
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15H04836
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松阪 泰二 東海大学, 医学部, 教授 (50317749)
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FSP1 / 急性腎障害 / ポドサイト / 尿細管上皮細胞 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害(AKI)は、生命予後、疾患重症化や医療費高額化に直結する重要な病態だが、有効な治療法が存在しない。本研究では、分泌型 fibroblast specific protein 1 (FSP1) が、抗アポトーシス作用および抗酸化作用を介して、AKI新規治療薬として有望であるかを検討している。また、ポドサイトでFSP1を過剰発現する遺伝子改変マウスを用いて、ポドサイト-尿細管上皮細胞連関の存在を検討している。 先ずわれわれは、分泌型FSP1の新しい生物活性を検出する目的で網羅的遺伝子解析を実施した。培養メサンギウム細胞と尿細管上皮細胞において、分泌型FSP1は抗酸化作用を有するヘムオキシゲナーゼ1 (HO-1) mRNA発現量を約3倍に増加させ、活性酸素産生を誘導するエンドセリン1 mRNA発現量を1/10以下に低下させることが明らかになった。さらに、ROSアッセイキットを用いて活性酸素産生誘導を検討した結果、分泌型FSP1はシスプラチンによる尿細管上皮細胞の活性酸素誘導を63%抑制可能であることが確認できた。 次に、ポドサイト特異的にFSP1を過剰発現したマウス(FSP1.TG)を用いて、ポドサイトから分泌されるFSP1に尿細管上皮細胞保護作用があるか否かを、シスプラチン腎症マウスを作製して検討した。FSP1.TGでは、野生型マウスと比較して、有意に間質尿細管病変が軽減していた。腎機能の悪化も有意に抑制していた。TUNEL法によるアポトーシス細胞数を測定したところ、FSP1.TGで有意に減少していた。 さらに、エクソソーム含有FSP1の存在を確認した。ANCA関連腎症患者の尿検体からインビトロジェン社製のエクソソーム抽出キットを用いて精製したエクソソームにはFSP1の発現が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の柱となる実験データが順調に集積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
尿細管間質障害に対する分泌型FSP1の有効性をシスプラチン腎症および NEP25モデルを用いて検討する。 FSP1群には、シスプラチン投与直前、投与24時間後と48時間後に腹腔内注射する。Vehicle群には生食を投与する。シスプラチン(20 mg/kg)をマウス腹腔内投与し、72時間後に腎臓を摘出し、病理学的検討(判定量的組織障害度、浸潤細胞数、アポトーシスを呈した尿細管上皮細胞数など)およびレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)法を用いた mRNA発現解析(TNF-α, MCP-1など)を実施する。さらに、血液および尿(蓄尿)を採取し、腎機能、蛋白尿量や尿細管間質障害バイオマーカーを測定する。 さらに、尿細管上皮細胞株(mProx)を用いて、シスプラチンで誘導されるアポトーシスや活性酸素産生に対する分泌型FSP1による抑制効果を、TUNEL法およびROSアッセイキット(コスモバイオ社)を用いて検討する。 NEP25マウスは、マウスポドサイトにヒトCD25が発現する遺伝子改変マウスである。LMB2(抗hCD25モノクローナル抗体にexotoxinを付加したもの)を静脈内投与することで、糸球体硬化と蛋白尿惹起性尿細管間質障害が出現する。LMB2はロット差があるために、予備的検討にて2週間後に間質障害を誘導可能な適切な投与量を決定する。FSP1群には、蛋白尿が出現するLMB2投与4日後から腹腔内注射する。Vehicle群には生食を投与する。2週間後に腎組織を採取し、シスプラチン腎症と同様の検討を加える。 さらに、FSP1含有エクソソームの尿細管上皮細胞への生物活性に関する検討を実施予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Serum CETP status is independently associated with reduction rates in LDL-C in pitavastatin-treated diabetic patients and possible involvement of LXR in its association.2016
Author(s)
Shimada A, Kimura H, Oida K, Kanehara H, Bando Y, Sakamoto S, Wakasugi T, Saga T, Ito Y, Kamiyama K, Mikami D, Iwano M, Hirano T, Yoshida H.
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Journal Title
Lipids Health Dis.
Volume: 15
Pages: 57
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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