2016 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳後修飾による腎臓内シグナル伝達機構の解明と慢性腎臓病治療への展開
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15H04837
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
柴田 茂 帝京大学, 医学部, 准教授 (60508068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (10114125)
内田 俊也 帝京大学, 医学部, 教授 (50151882)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 高血圧 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における慢性腎臓病 (CKD) 患者は増加の一途を辿っており、新たな治療薬の開発は喫緊の課題である。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)はCKDの発症・進展に強く関与しており、特に腎臓内においては全身とは独立した機序でRAA系が制御されているが、詳細は必ずしも明らかでない。これまで、申請者らはリン酸化やユビキチン化を介した細胞選択的なシグナル伝達が腎臓内RAA系の制御に重要な役割を果たす可能性を示してきた (Shibata et al. Cell Metab 2013 and PNAS 2014)。本研究はこれらのシグナル伝達機構の詳細な解析と、腎臓内RAA系の病的活性化の役割解明をその主目的としている。アルドステロンの受容体であるmineralocorticoid receptor (MR)の作用はリガンド結合領域のリン酸化によって細胞特異的に制御されているが、本研究ではこの機構の病的役割について様々なモデルを用いて検討をすすめ、血清カリウム濃度の低下に伴ってMRの脱リン酸化が誘導され、腎臓のアルドステロンに対する感受性が亢進することを見出した(Xu et al. Hypertension 2017)。さらに、血清カリウム濃度の低下に伴い、アルドステロンとは独立に腎臓内RA系のeffector分子であるユビキチンリガーゼKLHL3の活性が修飾され、Na-Cl共輸送体の活性化をきたすことも明らかとなっている(Ishizawa K et al. BBRC 2016)。このことから、血清カリウム濃度の低下はMRの脱リン酸化およびKLHL3の不活性化を介してアルドステロンと相乗的に高血圧を進展させ、臓器障害に関与する可能性が考えられる(Shibata et al. J Endocrinol 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高血圧・腎障害モデルにおける、MRの脱リン酸化やユビキチンリガーゼKLHL3の活性異常といったメカニズムの関与が明らかとなりつつあり、概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ユビキチンリガーゼKLHL3の病態モデルにおける更なる解析を行う。 2. キナーゼスクリーニングを経てMRリン酸化キナーゼの同定と創薬ターゲットとしての可能性を模索する。
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Research Products
(7 results)