2016 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチンの新たな作用発現・濃度調節機構とFavine作用機序の解明
Project/Area Number |
15H04853
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下村 伊一郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60346145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 淳範 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00437328)
前田 法一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30506308)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アディポネクチン / T-カドヘリン / Favine / 脂肪細胞 / アディポサイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) アディポネクチン/T-カドヘリン ポジティブループによるアディポネクチン組織集積と臓器保護機構の解明 ApoE-KOマウスに比し、Tcad/ApoE-DKOマウスおよびAdipo/ApoE-DKOマウスは、大動脈内膜のOil Red O染色陽性面積が増加、動脈硬化病変部位にアディポネクチン蛋白は検出されなかった。頸動脈結紮実験を実施。結果、Tcad/ApoE-DKOマウスおよびAdipo/ApoE-DKOマウスは、新生内膜増殖が亢進、また、ApoE-KOマウスでは新生内膜増殖部位にはアディポネクチンおよびT-カドヘリンが増加。以上より、アディポネクチンはT-カドヘリンを介して、動脈硬化病変ならびに新生内膜増殖部に、集積し保護作用を発揮することが示された。培養血管平滑筋細胞(SMC)において、T-カドヘリンは増殖型SMCに多く発現、アディポネクチンが集積。T-カドヘリンをノックダウンするとアディポネクチンの集積は著明に減少。TNF-alphaを添加するとMCP-1をはじめとする炎症惹起因子が上昇し、この上昇はアディポネクチン添加により有意に減弱。この減弱は、T-カドヘリン・ノックダウンによりキャンセルされた。(2)血中アディポネクチン濃度を規定するGPI-PLDの発見と制御機構、病態学的意義の解明 GPI-PLDは主に肝臓で発現し、db/dbマウスおよびSTZマウスにおいて、肝臓での発現が上昇、血中GPI-PLD濃度も増加した。培養肝細胞において、高グルコース状態でGPI-PLD mRNA発現が上昇。以上より、グルコースがGPI-PLDの発現制御に重要であることが示された。 (3) 脂肪血管由来分泌因子Favineの脂肪細胞分化/脂質合成促進作用の発見とその機序の解明 カイコを用いた精製蛋白を作成。Favine組み換え蛋白およびFavineを含む培養上清を、HUVECに添加。TNFαまたはMCP1によるVCAM1の発現増加は、Favine蛋白またはFavine培養上清の前処理で抑制。以上よりHUVECにはFavine受容体が存在し、炎症経路に対して作用することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アディポネクチン/T-カドヘリン ポジティブループによるアディポネクチン組織集積と臓器保護機構の解明として、まずは血管保護作用を明らかにした。また、GPI-PLDの発現制御を明らかにした。 Favine蛋白および過剰発現した培養上清をもちいてFavineのシグナル経路の一部が明らかとなった。 以上のことから、本研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アディポネクチン/T-カドヘリン ポジティブループによるアディポネクチン組織集積と臓器保護機構の解明 さらに血管構築細胞におけるアディポネクチン/T-カドヘリン システムの詳細な分子機構を明らかにしていく。また、骨格筋細胞などでも同様に検討していく。(2)血中アディポネクチン濃度を規定するGPI-PLDの発見と制御機構、病態学的意義の解明 生体内でのGPI-PLDの役割を明らかにすべく、GPI-PLD欠損マウスおよび過剰発現系を駆使して検討を進めていく。同時に、ヒトにおけるGPI-PLDの病態的意義を明らかにし、GPI-PLDの治療応用の可能性を探る。(3)脂肪血管由来分泌因子Favineの脂肪細胞分化/脂質合成促進作用の発見とその機序の解明 培養細胞を用いたFavine蛋白の添加実験、過剰発現、ノックダウンの系を引き続き行い、Favineのシグナルに関与する因子を明らかにする。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Significance of adiponectin accumulation in vasculature2016
Author(s)
Norikazu Maeda and Iichiro Shimomura
Organizer
11th IDF-WPR Congress 2016 & 8th AASD Scientific Meeting Joint Symposium of Asia-Pacific Diabetes and Obesity Study Group
Place of Presentation
Taipei International Convention Center, Taipei, Taiwan
Year and Date
2016-10-30 – 2016-10-30
Int'l Joint Research / Invited
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