2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子改変T細胞による難治性白血病の治癒を目指した治療戦略
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15H04858
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安川 正貴 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (60127917)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / ADCC / 遺伝子改変T細胞 / 細胞傷害性T細胞 / 抗体療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な悪性腫瘍に対して抗体療法の効果が期待されているが、その効果は限定されている。抗体療法における治療成績向上のためには、抗体のantibody-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC)効果を上げる工夫が必要である。本研究では、CD16(FcγRⅢ)-CD3ζキメラレセプター遺伝子発現ベクターを作製し、抗体療法とCD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞輸注との併用による新規がん免疫細胞療法を開発した。これまでに、抗CD20抗体との併用によるB細胞性悪性リンパ腫に対する抗腫瘍効果を確認しているが、本年度は更に対象疾患を拡大し、成人T細胞性白血病(ATL)に対する抗CCR4抗体モガムリズマブとの併用効果を検討した。その結果、CD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞は、モガムリズマブ存在下でATL細胞に強い抗腫瘍効果を示すことがin vitro実験系で明らかとなった。さらに免疫不全NOGマウスにATL細胞株を移植後、CD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞の抗腫瘍効果をin vivo実験系で検討した。その結果、CD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞とモガムリズマブを併用した時のみ、ATL細胞の増殖が抑制されることが明らかとなった。これらの結果から、がんに対する抗体療法は、CD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞の併用によってその抗腫瘍効果が著しく向上できることが示された。 さらに、本年度は新たな遺伝子改変T細胞療法の開発を開始した。HLA-A2/NY-ESO1ペプチド複合体に対する抗体を用いて、新規chimeric antigen receptor (CAR)発現ベクターを構築した。現在、HLA-A2/NY-ESO1-CART細胞の抗腫瘍効果を特に骨髄腫を対象として検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、CD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞と抗体との併用療法による抗腫瘍効果をin vitroならびにヒト腫瘍細胞移植NOGマウスのin vivo実験系で証明できた。現在、新たな発現ベクターの開発に着手しており順調に成果が得られている。また、新たな遺伝子改変T細胞療法として、HLA-A2/NY-ESO1ペプチド複合体に対するCAR-T細胞の開発に着手し、その成績が得られていることは当初の計画になかった成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、CD16-CD3ζ遺伝子改変人工T細胞と抗体との併用療法による抗腫瘍効果を、対象疾患を拡大して検討するとともに、遺伝子改変T細胞の疲弊を阻止できる新たな発現ベクターの開発を推進する計画である。また、遺伝子改変T細胞の疲弊を抑制する新たな化合物を発見しており、そのT細胞の機能向上の確認をin vitroならびにin vivo実験系を用いて行う予定である。他方、HLA-A2/NY-ESO1ペプチド複合体に対するCAR-T細胞の骨髄腫に対する抗腫瘍効果をヒト化マウスを用いて検証する計画である。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Phase 1 Clinical Trial of Adoptive Immunotherapy for Acute Myelogenous Leukemia and Myelodysplastic Syndrome, Using Gene-Modified Autologous Lymphocytes Expressing WT1-Specific T-Cell Receptor2016
Author(s)
Kazushi Tanimoto, Hiroshi Fujiwara, Isao Tawara, Masahiro Masuya, Shinichi Kageyama, Tetsuya Nishida, Makoto Murata, Seitaro Terakura, Yoshiki Akatsuka, Hiroaki Ikeda, Yoshihiro Miyahara, Ikuei Nukaya, Kazutoh Takesako, Nobuhiko Emi, Naoyuki Katayama, Hiroshi Shiku, Masaki Yasukawa
Organizer
American Society of Hematology Annual Meeting 2016
Place of Presentation
San Diego, USA
Year and Date
2016-12-05
Int'l Joint Research
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