2015 Fiscal Year Annual Research Report
オミクス情報を駆使した全身型特発性関節炎分子病態の解明と先制医療開発
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15H04873
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系, 教授 (40210281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東馬 智子 金沢大学, 大学病院, 助教 (00377392)
清水 正樹 金沢大学, 医学系, 助教 (10401902)
和田 泰三 金沢大学, 大学病院, 講師 (30313646)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若年性特発性関節炎 / サイトカイン / IL-18 / angiopoietin / バイオマーカー / 先制医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身型若年性特発性関節炎(sJIA)について、合併するマクロファージ活性化症候群の病態を、サイトカインプロファイリングならびに細胞解析により分析した。結果の概要を以下に示す。 ① IL-18 と sJIA に合併する MAS 発症予測について 血清 IL-18 の正常化が sJIA における炎症病態安定化の指標であることを明らかにした。血清 IL-18 高値が持続する症例では、ストレス要因の負荷により容易に MAS を発症するリスクがあることが示唆された。特に IL-6 阻害療法中の症例では、見かけ上の炎症病態が検出されなくなり、MAS 準備状態が潜行する危険性があることが示された。これらの成果から、sJIA 症例における IL-6/IL-18 モニタリングの重要性が明らかにされた。
② MAS 発症における angiopoietin-1 ならびに angiopoietin-2 の役割について sJIA に合併する MAS では血管内皮機能の破綻が先行することが示唆されている。このことを反映して、MAS 合併症例では Ang-2/Ang-1 比率の増加が観察された。このような変化は、同様に血球貪食症候群を合併する EBV-HLH では認められたが、Kawasaki 病では認められなかった。MAS の発症病態に血管内皮機能の破綻が強く関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一部は複数の論文として公表されている。特に、sJIA における MAS 合併の病態解明については一定の進展が得られたと評価する。一方、さらなる努力が必要とされる部分は下記の通りである。
① MAS 発症予測のためのバイオマーカーの探索;これまでに、MAS 発症時の病態を理解することについては進展が見られているが、その発症を事前に予測することはできていない。適切なバイオマーカーが知られていないためであり、本研究を継続するにあたり、オミクス手法を用いたバイオマーカーの探索が必要とされる。
② iPS 細胞による MAS 発症モデルの構築;希少疾患であることもあり、症例由来の細胞を用いた iPS 細胞の作成と細胞分化系の確立については進展を認めていない。XIAP 症例を中心に遺伝的背景の明らかな sJIA モデルとなる疾患を対象に iPS 細胞の作成にむけて研究を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果、ならびに現在の進捗状況を受けて、以下の方策で今後の研究を推進する。
① オミクス手法を駆使した、MAS 特異的バイオマーカーの探索;Protein array system を用いて、網羅的に血清中の蛋白動態を検索する。RayBio Array system を用いた予備的検討では、MAS 発症時に急激に増加し、かつ他の炎症病態では変化の見られない複数の候補蛋白を確認している。今後は、これらの候補蛋白の意義について、ELISA 法により定量しながら検証作業を進める。
② XIAP 症例における iPS 細胞の樹立;当初の予定通り、XIAP 症例からの iPS 細胞株の樹立と細胞分化系の確立を目指す。
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Research Products
(5 results)