2015 Fiscal Year Annual Research Report
放射性核種体内動態の革新的制御機構による難治癌に対する選択的内用療法の開発
Project/Area Number |
15H04911
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
梅田 泉 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (40160791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 博史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (80218982)
秋元 哲夫 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (10261851)
高橋 秀依 帝京大学, 薬学部, 教授 (10266348)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内用療法 / 放射線治療 / 放射性核種 / リポソーム / Y-90 / Cu-64 / 難治癌 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は浸潤・遠隔転移を来した進行がんをも治癒に導きうる革新的放射線内用療法の開発である。この目的達成には治療用放射性核種の標的部位への大量送達と共に、正常組織集積の低減が必要である。我々はこれまでにナノキャリアであるリポソームに放射性核種-配位子錯体を封入して腫瘍部位への大量送達に成功している。本研究では核種に結合する配位子に着目し、一旦網内系に捕捉された核種を能動的かつ迅速に細胞外に運び出し、尿排泄に誘導するシステムの開発を進めた。Y-90、Cu-64、Lu-177などの治療用核種はほとんど流通しておらず入手が難しい。そこでまずIn-111およびY-88を代替核種として検討を行った。 1)リポソーム内への高濃度封入法: リポソーム内に水溶性配位子を予め封入し、一方で放射性核種を脂溶性配位子で錯体形成させ、錯体交換反応によってリポソーム内に核種を高濃度に封入する手法を検討した。In-111の場合は、脂溶性配位子8-hydroxyquinoline(8HQ)を用い、水溶性配位子としてDOTA、DTPA、EDTA、EC等を用いる事でいずれも高濃度封入が可能であった。HPLC分析の結果、リポソーム内でそれら水溶性配位子とIn-111が錯体を形成していることが確かめられた。一方、Y-88の場合は、8HQとの脂溶性錯体の形成が悪く、toropoloneの方が高成績だった。水溶性錯体としてDOTAを用いた場合、In-111と比べて加熱と長い反応時間が必要だった。条件を選ぶことでY-88-DOTA封入リポソームを得ることが出来た。 2)正常組織からの迅速クリアランスを目指した配位子の検討:Y-DOTAは細胞内に蓄積するため、細胞外放出を目指してDOTAにフェニルアラニンやグルタチオン、EOBなどの導入を試みている。EOBの導入は肝臓からの消失を加速させる傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はリポソーム内に封入する放射性核種と配位子との組合せによって、一旦網内系に捕捉された核種を能動的かつ迅速に細胞外に排出できるシステムの構築を目指すものである。核種と配位子との錯体形成速度や安定性は、核種によって大きく異なり、治療に用いる核種での検討が必須であるが、治療用のY-90やCu-64などの入手が難しく、詳細な検討がやや遅れている。また、新たな配位子の合成は進んでいるが、網内系からのクリアランス促進にはもう少し検討が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Y-90およびCu-64入手の一定の目途が立ったことから、まず錯体形成、リポソーム封入等につき、詳細な検討を実施する。さらに新たに合成した配位子につき、その網内系からのクリアランス促進の評価を進め、目的に適したものを得る。これらを用いて、担がん動物を用いた治療実験を実施する。皮下移植原発モデルとともに転移モデルも検討の予定である。
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Research Products
(11 results)