2016 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線CT画像取得システムと体内レンジ計算精度に関する研究
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15H04912
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
西尾 禎治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40415526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
株木 重人 東海大学, 医学部, 講師 (00402777)
小澤 修一 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任准教授 (20360521)
中村 哲志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (20638374)
阿蘇 司 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (30290737)
中川 恵一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80188896)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粒子線治療 / 陽子線CTシステム / 陽子線体内レンジ計算精度 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の陽子線治療では、X線CT画像のX線CT値から患者体内中の陽子線レンジ計算を実施しているが、その計算精度は3%と云われている。そのため、例えば前立腺など30cmほどのレンジが必要な陽子線治療においては10mm近くの大きなマージンを陽子線レンジに付加した治療計画が国内外の陽子線治療施設で実施されている。これでは、腫瘍位置へ正確に陽子線のブラッグピークの位置を配置した照射になっておらず、腫瘍の奥側の領域に余分な高線量を照射してしまうことになる。現在の陽子線治療は、高い線量集中性を持つ陽子線の物理特性を活かした高精度治療を実施できていない状況にある。 その問題の解決のため、陽子線CT画像取得法の研究とその計測システムを開発し、陽子線から見た場合の患者体内情報を把握することで高精度の陽子線治療を実現する。患者などの被写体を通過可能なエネルギーを持つ陽子線を利用し、陽子線の被写体入射前及び通過後の入射位置とエネルギー減衰量を観測することで陽子線を用いたCT画像の取得が可能となり、陽子線治療における患者体内中でのレンジ位置を正確に見積もることができる。 本年度の研究では、「陽子線CT画像取得システムの改良」、「簡易型陽子線画像取得システムを用いた陽子線照射実験とデータ解析」、「陽子線CT画像を作成する画像再構成アルゴリズムの検証試験」及び「陽子線CT画像利用線量計算法と陽子線CT画像を用いた物理及び臨床的線量分布検証」を実施した。 本年度の研究及びシステム等の開発を予定通りに実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陽子線CT画像取得法の研究とその計測システムを開発し、陽子線から見た場合の患者体内情報を把握することで高精度の陽子線治療の実現を目指している。本研究では、陽子線治療で活用可能な簡易性と利便性を兼ね備え、精度良く陽子線CT画像を取得するための計測手法の考案と計測システムを開発し、また、得られた計測データからの陽子線CT画像を構築する画像再構成アルゴリズムの研究開発及び陽子線治療計画機能の研究開発が目的である。 臨床に用いる200MeVの高エネルギー陽子線に対応できるように簡易型陽子線画像取得システムを改良した。プラスチックシンチレーターより高密度な物質である7cm厚のBGO結晶検出器が利用可能なシステムを構築した。 構築したシステムにより、被写体への陽子線のエネルギー及び強度、CCDカメラの撮影条件、被写体材質と大きさ、被写体回転速度を変更することで照射実験を実施した。陽子線照射条件と計測条件による取得データの傾向を解析することで陽子線CT画像取得法の実現性と妥当性を評価した。 ML-EM法ベースの陽子線CT画像再構成アルゴリズムを利用することで、簡易型陽子線画像取得システムによる様々な陽子線照射実験条件から得られる、被写体の照射位置に対するエネルギー損失データから画像化を行い、被写体の材質や厚みに応じた画質や画素値の性能試験を行った。 DICOM-RTIon規格化済みX線CT画像と陽子線CT画像利用線量計算法を搭載したシステムによる、線量分布検証を実施した。陽子線照射実験によって陽子線CT画像化された被写体について、X線CT画像と陽子線CT画像による線量分布の相違を物理的及び臨床的に評価し、陽子線CT画像利用の場合の優位性を判断できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究開発成果を基盤とすることで、以下に示す通り、本システムの統合化、陽子線照射実験とデータ取得、取得データ解析を実施することで陽子線CT画像の算出と画質評価を行う。 これまでの研究開発成果を包括した陽子線CT画像取得システムの統合化を図り、様々な照射条件による陽子線を用いた照射実験を実施することで、統合化されたシステムの動作確認等の検証を行う。陽子線のエネルギー及び強度、CCDカメラの撮影条件、被写体材質と大きさ、被写体回転速度を変更することで照射実験を実施する。陽子線照射条件と計測条件による取得データの傾向を解析する。本システムを用いた実験により、シンチレーター検出器を利用した陽子線CT画像取得法の実現性と妥当性を詳細に評価する。 統合化した陽子線CT画像取得システムに搭載したML-EM法ベースの陽子線CT画像再構成アルゴリズムを活用し、様々な被写体に対する2次元発光マップデータより得られる、被写体の照射位置に対するエネルギー損失データからプロジェクション画像化及び陽子線CT画像化を行う。被写体の材質や厚みに応じた陽子線CT画像の画質や画素値の品質試験を実施する。 DICOM-RTIon規格化済みX線CT画像と陽子線CT画像利用線量計算法を搭載したシステムによる、線量分布検証を実施する。陽子線照射実験によって陽子線CT画像化された被写体について、X線CT画像と陽子線CT画像による線量分布の相違を物理的及び臨床的に評価し、陽子線CT画像利用の場合の優位性を判断する。
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Research Products
(7 results)