2016 Fiscal Year Annual Research Report
脳および腫瘍のPET検査におけるファントムを用いた撮像条件の標準化
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15H04914
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
千田 道雄 公益財団法人先端医療振興財団, 先端医療センター研究所, 副所長 (00216558)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PET / 標準化 / ファントム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.認知症研究のための脳のFDG-PETと、アミロイドPET(使用PET薬剤は11C-PiB, 18F-フロルベタピル、18F-フルテメタモル)について、これまでに実施され有用性が示された多施設研究や多施設治験での撮像条件を調査し、それに基づいてファントムに封入すべき放射能とファントム撮像時間を決めた。ファントムデータの解析から、これらの多施設試験においては、ホフマン3D脳ファントム画像における灰白質と白質のコントラストは55%以上、均一プールファントム画像における雑音(SD/Mean)は15%以下であれば、良好な画像が得られていることがわかり、これらをファントム試験の基準とすることが妥当と考えた。次に、J-ADNI2プロジェクトにてさまざまなPETカメラで行われたファントム実験のデータを解析した結果、現在国内で用いられているPETカメラほぼすべての機種に対して、これらのファントム基準値が満たされる画像再構成条件を選べることを確認した。 2.腫瘍の全身FDG-PET検査においては、わが国では病変検出能が、欧米ではSUV値の普遍性が重視されているので、それらを取り入れたファントム基準を考案した。すなわち、病変検出能に関しては、10mmのホット球が描出されそのSUV値の相対リカバリー係数が0.38を超えることと、バックグランドの均一領域での37mm径のROI値の変動が10%未満、という基準を設けた。SUV値については、カメラに依らず一定の値が得られるように10mm径から37mm径までの6つの球のリカバリー係数が満たすべき上限と下限を定めた。 3.先端医療センターのPETカメラ(Discovery 690)を用いてファントム実験を行い、上記の脳アミロイドPETに対するファントム基準を満たす撮像条件を定め、その条件で臨床研究を実施して、良好な画像が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳のPETについては、外国に基準が無いので、すでに実施された国内外の多施設研究の撮像条件の情報から、脳PET画像が満たすべきファントム試験の画質の基準を作成し、国内で用いられている大部分のカメラでこれを満たす撮像条件を選べることを確認した。これらの成果をまとめ、このファントム基準の根拠となる論文を執筆して発表した。 腫瘍のPETについては、わが国と欧米の考えかたが若干異なるため、わが国の医師や技師が要求する画質の評価が可能でかつ欧米の基準にも矛盾しないファントム基準を考案した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、日本核医学会のPET撮像法標準化小委員会と連携し、また、AMEDプレクリニカルプロジェクト、SDAF試験、JCOG試験などの多施設PET臨床研究プロジェクトとも連携を取って、認知症のための脳のFDGおよびアミロイドPET検査と、腫瘍の全身FDG-PET検査における標準化とそのためのファントム試験基準に関して次の検討を行う。 1.脳のFDG、アミロイド、および可能ならタウPETについて、満たすべき画質のファントム基準を完成させ、それに基づいて、先端医療センターにて臨床研究として被験者のPET撮像を行い、実際の臨床画像の画質を検討する。 2.腫瘍の全身FDG-PET検査における病変検出能とSUV値の信頼性について、満たすべきファントム試験の基準を完成させ、その有用性を多施設試験などで確認する。 3.これらの基準を学会による標準的プロトコールとして発表し、普及をめざす。
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Research Products
(2 results)