2015 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管特異的マーカーを標的とした次世代肺癌治療の開発
Project/Area Number |
15H04941
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 講師 (30399919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間石 奈湖 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任助教 (00632423)
秋山 廣輔 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (10609100)
加賀 基知三 北海道大学, 大学病院, 講師 (80224335)
松居 喜郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90219379)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腫瘍血管 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
<腫瘍血管内皮細胞特異的発現タンパク,ビグリカンのヒト癌患者血清中濃度の解析> 当研究グループが見出した腫瘍血管内皮細胞特異的な分泌タンパクであるビグリカンのヒト癌患者の血清中濃度をELISAで解析することができた.これまでに集積した肺癌患者37名と健常者8名の血清中濃度と臨床病理学的因子の解析を行った.すでに解析していたマウス異種移植腫瘍モデルで得られた結果と矛盾のない結果が得られた.マウスでは担癌状態で血清中ビグリカン濃度が高く,転移能の高い腫瘍を移植したマウスで血清中ビグリカン濃度がより高かったが,肺癌患者では健常者に比べて有意に血清中ビグリカン濃度が高かった.肺癌患者の中での検討では腫瘍径や浸潤形式との相関傾向が認められた.腫瘍切片の免疫染色による検討では,肺癌腫瘍組織中の腫瘍血管内皮細胞にビグリカンの発現が認められた.血清中のビグリカン濃度と組織中の腫瘍血管内皮細胞のビグリカン発現に関連が示唆された.現在定量的な検討を行っているところである. <腫瘍血管内皮細胞特異的阻害剤スクリーニングシステムの構築> 腫瘍血管内皮細胞特異的阻害剤のハイスループットスクリーニングを行うために,初代培養細胞である腫瘍血管内皮細胞とコントロールとして用いる正常血管内皮細胞の大量調整が可能な細胞株の樹立を行った.これまでに分離培養に成功したマウスおよびヒト血管内皮細胞にそれぞれSV40とhTERTを遺伝子導入して長期間の培養を行うことに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍血管内皮細胞特異的発現タンパクのヒト癌患者血清中濃度の解析に成功し,これまでにマウスのモデルで得られた知見をヒトでも確認することが出来た.また組織ではなく血清でも検査可能であることが確認できた. 腫瘍血管内皮細胞特異的阻害剤スクリーニングシステムの構築に成功したため,阻害物質のパイロットスクリーニングを開始することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌患者由来の血清の解析を追加し,腫瘍切片のグリピカン発現との相関を更に検討する.膵癌についても検体を準備中であり,こちらは組織切片で有望な結果が得られれば血清中ビグリカン濃度を測定して解析する予定である. 現在,3000あまりのリード化合物について腫瘍血管内皮細胞の遊走と増殖抑制を解析中である.この結果を受けて,有望な候補物質についてさらに詳細なin vitro,in vivo実験を行う.また,数十万オーダーの化合物のスクリーニングを行う予定である.
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Research Products
(3 results)