2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞由来スキャフォールドフリー三次元人工組織による軟骨再生技術の開発
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15H04958
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 憲正 大阪大学, 国際医工情報センター, 招へい教授 (50273719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
藤江 裕道 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (20199300)
寺村 岳士 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (40460901)
福田 寛二 近畿大学, 医学部, 教授 (50201744)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 理事・副学長 (60191558)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 間葉系幹細胞 / 軟骨再生 / 人工組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度に確立した方法によりfeeder lessのiPS細胞からMSC様の細胞を誘導し、それらの性状解析を行った。iPS細胞から2週間でCD44, CD73, CD90, CD105が陽性の純度が高いMSC様細胞が得られることがわかり、多能性マーカー(TRA-1-60, Oct3/4, Nanog, Sox2, Lin28a)の発現消失および減少が確認された。次にこれらの細胞の骨、軟骨、脂肪細胞への分化能を調べたところ、それぞれの系列への分化能は有するものの生体から採取したMSCと比較すると、その分化能は低く、再生医療に用いるに十分な細胞が得られたとは言えなかった。ここで用いたiPS細胞からのMSC様細胞誘導法は血清培地を用いるだけの簡便な手法であるが、iPS細胞の自発的な分化に依存した方法で、生体内の発生を模倣した誘導系とは言い難い。そこで、骨軟骨系列への分化能を高く有するMSC様細胞を誘導するには、骨軟骨の発生を模倣した誘導系が必要であると考え、初期胚の胚様の中でも神経堤発生経路に着目した。神経堤細胞はヒトiPS細胞から高い効率で誘導可能であるだけでなく、その後の増幅培養が可能である事が知られており、応用利用するに有望な細胞である。神経堤を介して誘導したMSC様細胞の軟骨疾患への応用を検討するため、京都大学iPS細胞研究所よりヒトiPS細胞由来神経堤細胞の提供を受け、その細胞を血清培地で培養する事でMSC様細胞へ誘導した。神経堤細胞を血清培地で培養後1-2週以内にMSCマーカー(CD44, 73, 105)陽性かつ神経堤マーカー(CD271)陰性の細胞集団が再現性高く得られることがわかり、さらに多能性マーカー(TRA-1-60, Oct3/4, Nanog, Sox2, Lin28a)の発現は著しく消失していることから安全性についても鑑みられた。さらに神経堤由来MSC様細胞がin vitroの分化誘導において高い骨分化能、軟骨分化能を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請計画では平成28年度にiPS細胞からのMSC様細胞誘導法を最適化することであった。我々はepisomalなiPS細胞から神経堤細胞を経由してMSC様細胞を誘導する方法で、骨や軟骨への分化能を有する機能的な間葉系幹・前駆細胞を安定的に誘導することができている。さらにはこの誘導MSC様細胞からの人工組織(iTEC)作製も前倒しで進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在再現性高いプロトコルで間葉系への分化能を有する細胞が誘導できているが、これらの分化能が生体由来MSCと比較してどの程度なのかを比較検討することで、従来治療を上回る可能性があるのかを精査していく。 次に誘導MSC様細胞を高密度培養することによりiTECの作製を行う。我々は既に生体由来MSCからのTEC作製の際に細胞培養密度・期間によって組織の体積、水分含有量、力学特性(破断強度、硬度)が変化することを確認している。iPS細胞由来MSCにおいても同様の検討により容易に移植所作が可能なiTECの開発を目指す。さらに、このiTECをTGFbやBMP, GDFなどを用いた条件で培養することで、軟骨細胞への分化能ならびに軟骨組織の形成能を評価していく。 幹細胞を用いた関節軟骨治療では、幹細胞を欠損部へ直接移植する方法や、幹細胞を予め軟骨分化誘導を行ってから移植する方法がある。まずは作製したiTECを事前の分化誘導することなく免疫不全動物の膝関節軟骨欠損モデルへの移植試験を行うことでiTECの軟骨組織修復能および安全性について厳正に評価を行っていく。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Preparation of Scaffold-free Tissue Engineered Constructs Derived from Human Synovial Mesenchymal Stem Cells under Low Oxygen Tension Enhances their Chondrogenic Differentiation Capacity2016
Author(s)
Yasui, Y., Chijimatsu, R., Hart, D. A., Koizumi, K., Sugita, N., Shimomura, K., Myoui, A., Yoshikawa, H., Nakamura, N
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Journal Title
Tissue Eng. Part A
Volume: 22
Pages: 490-500
Int'l Joint Research
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