2016 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの慢性化のきっかけとなる脳への細胞分子伝達メカニズムの解明
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15H04968
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中江 文 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (60379170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 雄太郎 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (00528408)
中井 國博 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (80362705)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疼痛モデル / 高解像MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に投与後に疼痛行動が生じることが確認できたLPSモデルについては、その免疫関連物質の変動と鎮痛薬とステロイド投与による変化を確認するために実験を行い、解析を終了した。LPS投与によって、IL-1β、IL-6、IL-10、MIP-1α、MIP-1β、TNF-α、GM-CSFの有意な上昇を認めた。LPSと同時にモルヒネ、プレドニゾロンの投与を行ったところ、上記で有意な上昇を認めた免疫関連物質のうち、モルヒネ投与でMIP-1α、GM-CSFにおいて、プレドニゾロン投与でIL-6、MIP-1α、GM-CSFにおいてそれぞれの薬剤投与による有意な抑制効果を認めることが出来た。 本年度は、昨年度から今年度初頭にかけて行った、MyD88-KOマウス、TRIF-KOマウスを用いて、強炎症モデルを作製し、その行動評価の結果、強炎症も出るが手術直後の急性痛、1ヶ月以上後の慢性痛の時期を同一個体で経時的に観察可能であることを証明し、KOマウスでは疼痛行動の抑制が認められたところまでの成果を、北米神経科学会(シカゴ、米国)で発表し、同一個体で2つの異なる痛みのフェーズで評価可能という点を評価された。 さらに、脳画像による動物モデルの痛みの程度の定量評価を目指したマンガン造影MRIによる痛みの動物の画像評価を続行した。マンガンの投与量、投与タイミング、投与経路を異なる方法で行い、現状では静脈投与で2日前の投与が最も造影効果が高そうであるという状況で、来年度も引き続き取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイトカインの解析が終了し、きっかけになる候補分子同定を目的とした、次世代シークエンサーを用いた分析に着手できたため
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Strategy for Future Research Activity |
LPSモデルについてはマクロファージの迷入の変化を明らかにするために、疼痛行動に変化があることが明らかなノックアウトを用いて脳内の部位毎の変化を定量的にとらえる試みに着手する。 強炎症モデルについては昨年度に採取済みの血液の分析に着手し解析を行う。 強炎症モデルの脳内変化のトリガーになり得る因子の同定を目指す。
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Research Products
(3 results)