2016 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌抗原提示能を確立させる樹状細胞内分子機構の解明と創薬への展開
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15H04974
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
那須 保友 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20237572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 豊彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30432644)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腫瘍学 / 抗癌免疫 / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に開発した融合タンパク質群および担癌マウスモデルを用いて、樹状細胞分化の際のどのような細胞内シグナルが癌抗原クロスプレゼンテーション機構の構築に関与するかを明らかにし、樹状細胞の癌抗原提示能を確立させる分子基盤を解明するものである。また、樹状細胞分化・癌抗原提示能獲得の最適化の観点から、難治性前立腺癌に対する新規の癌ワクチン創薬につなげる事を目的としている。本年度は、REICタンパク質のサイトカイン様機能をより深く理解する為に、独自に開発した前立腺癌抗原に対する抗癌免疫活性化治療薬としての癌抗原-cytokine融合タンパク質群を用いた研究を行った。特に、抗癌免疫の主体となる樹状細胞の分化過程で、どのように癌抗原提示能が確立されていくのか、その分子機構をin vivoで解析する為の担癌マウス治療モデルを確立した。さらに当該癌抗原の免疫原生の観点から、投与後の血中抗体を定量測定する方法を確立し、当該抗体量と抗腫瘍効果との正の関連性を明らかにした。4種類のサイトカインをそれぞれ融合させた癌抗原-cytokine融合タンパク質を、それぞれマウスモデルに投与することにより、当該前立腺癌抗原に対する特異抗体の産生量に大きな違いがあることが明らかとなった。また、当該モデルにおいてマウス及び対応するヒト前立腺癌抗原の癌抗原-cytokine融合タンパク質を用いることにより、癌抗原として機能する可能性が高い癌抗原領域を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌抗原クロスプレゼンテーション機構を解析する為の樹状細胞を獲得する手法が確立されつつあり、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に確立した担癌マウス治療モデルより分離した免疫担当細胞を用いて、樹状細胞分化の際のどのような細胞内シグナルが癌抗原クロスプレゼンテーション機構の構築に関与するかに焦点を当てる。すなわち、それぞれの癌抗原-cytokine融合タンパク質を組み合わせてマウスに投与することにより、分離した樹状細胞の細胞分化シグナルの動態を解析する。これまでに癌抗原クロスプレゼンテーション機構の構築に関与が報告されている分子についても動態を解析する。また、樹状細胞分化・癌抗原に対する提示能獲得の最適化の観点から、難治性前立腺癌に対する新規の癌ワクチン創薬につなげたい。
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