2016 Fiscal Year Annual Research Report
日本人標準ゲノムとジャポニカアレイを用いた子宮内膜症発症の遺伝要因解明
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15H04978
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八重樫 伸生 東北大学, 大学病院, 教授 (00241597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 純 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00281684)
高橋 史朗 東北大学, 大学病院, 特任准教授 (20365183)
渡部 洋 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80231009)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 子宮内膜症 / 卵巣明細胞腺癌 / 遺伝要因 / 遺伝子異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、子宮内膜症の発生機序ならびに子宮内膜症の悪性転化による卵巣明細胞癌の発生機序について、患者血液を対象にジャポニカアレイを用いた疑似フルシークエンスおよびOncoScanを用いたcopy number alterationの両面からの解析を行い、両疾患の遺伝子学的特徴と遺伝的関連性について解明することを目的とした。子宮内膜症は良性疾患であり、生殖細胞系遺伝子異常の解析を行うには、incidental findingsが見つかった場合を想定した高度な倫理的配慮が必要である。したがって子宮内膜症患者の遺伝子解析を行う有用性を明確にするために、今年度は子宮内膜症を発生母地とする卵巣明細胞癌のジャポニカアレイを用いた遺伝子コピー数解析ならびにsomatic mutationの解析を行った。東北大学医学部倫理委員会における審査と研究実施承認を得て、患者の同意の下、当院で手術を行った卵巣明細胞癌69症例のホルマリン固定パラフィン包埋標本からゲノムDNAを抽出し、ジャポニカアレイによる解析を行った。解析に耐えるDNAの質・量得られた53症例の遺伝子コピー数解析の結果、最も有意なコピー数増加のピークを認めたゲノム座標はZNF217遺伝子を含む領域であった。この遺伝子の発現は卵巣明細胞癌で増加していることが報告されており(Kuo KT, Clin Cancer Res 2010)、同遺伝子の増幅をピンポイントで抽出できたことは日本人ゲノムに最適化されたジャポニカアレイの分解能における優位性を示していると考えられる。その他、8番染色体長腕、17番染色体長腕領域のコピー数増加、9番染色体長腕、19番染色体短腕のコピー数減少に有意なピークを認めた。また、卵巣明細胞癌で特に合併することが多い血栓塞栓症を発症した群、しなかった群間でコピー数に有意な差を認めた血液凝固関連遺伝子を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣明細胞癌組織を対象とした研究が順調に進んでおり、腫瘍で有意なコピー数増減のピークを特定した。ジャポニカアレイによる遺伝子コピー数解析の精度を検証するため、有意なコピー数増減を認めた遺伝子に対し定量PCRを行う基礎実験を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣明細胞癌における遺伝子コピー数変異が確認された遺伝子の中から、本疾患の特徴的な臨床症状を形成する遺伝子を特定し、子宮内膜症患者血液の遺伝子解析に繋げる予定である。
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Research Products
(5 results)