2015 Fiscal Year Annual Research Report
時空的観察による卵胞発育制御機構の解明と卵胞発育因子の同定
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15H04984
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩瀬 明 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (20362246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 智子 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40732681)
後藤 真紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (90378125)
中原 辰夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50534830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生殖医学 / 卵巣 / 卵胞発育 / タイムラプス |
Outline of Annual Research Achievements |
原始卵胞から発育卵胞へのリクルート機転や、各発育段階での Stop and Go の評価を行うため、マウス卵巣培養におけるBrdU パルスチェイスによる顆粒膜細胞増殖の評価を行った。無刺激およびGrowth differentiation factor-9 (GDF-9), Bone morphogenetic proteins (BMP), anti-Müllerian hormone, Kit Ligand, Fibroblast growth factor, Insulin-like growth factor-1, PI3K-Akt 経路エフェクター分子である mTOR のアクチベーター/インヒビター, PI3K-Akt 経路を抑制する PTEN のインヒビターで刺激を行った。いくつかの因子でBrdU陽性卵胞の増加をみとめ、また因子ごとに作用する卵胞の発育段階に違いがみられることを見出した。 上記因子の顆粒膜細胞増殖機序の一端を解明するため不死化ヒト顆粒膜細胞株に添加実験を行い細胞内シグナルの活性化状況を確認した。おもにPI3K-Akt経路、Smad、ERK1/2経路の亢進をみとめたが、因子ごとに主要な経路は異なっており、異なる因子による緻密かつ複雑な卵胞発育制御機構が存在することが示唆された。 同様の刺激方法によりマウス卵巣組織の継時的観察をおこなった。いくつかの因子により、卵巣組織培養による卵胞発育の促進、獲得成熟卵数の増加をみとめた。一方で、異なる細胞内シグナルを経由する因子を併用すると、閉鎖におちいる卵胞が増加することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に記載した内容は、当初予定した平成27年度の研究計画の大半であり、今後の研究につながるデータは得られている。当初予定では、in vitroの実験で増殖と細胞内シグナルに加え、ステロイド産生系の評価も行う予定であったが、この評価のためには、先にゴナドトロピンに対する反応性を確立する必要があるため、ゴナドトロピンレセプターの発現制御に関する実験を先行して行うようにした。 また卵胞発育のキャラクタリゼーションのうえ、発育卵胞と停止卵胞を分取し網羅的な発現解析を行う予定であったが、本実験については当初予定より多くの卵胞を使用するほうが望ましいと判断したため、現在卵胞を収集中であり、次年度に解析を行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の実験でマウス卵巣のin vitro培養の系を確立するとともに、発育段階ごとにことなる発育促進因子が関与していることを見出した。複数の刺激因子をシーケンシャルに併用することにより、より効率的な体外成熟卵の産出をめざす。得られた成熟卵については、体外受精後、マウスに胚移植し正常な産仔が生まれるかどうか検証する。 さらに当初予定通り、本卵巣組織培養の系をヒト卵巣に応用する。ヒトの場合は卵胞が租であることと、卵胞成熟に要する時間がマウスより長いため、より安定的な培養系の確立が必要である。完全体外培養の系が困難な場合は、SCIDマウス腎被膜下移植の系を構築して実験を行う。
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Research Products
(1 results)