2015 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new theraphy for keloids with inhibition of HtrA1 and a new keloid organ culture system
Project/Area Number |
15H05003
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内藤 素子 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 客員研究員 (30378723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 聖子 京都大学, 医学研究科, 医学研究科客員研究員 (70378777)
吉川 勝宇 京都大学, 医学研究科, 助教 (10583156)
江野尻 竜樹 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (00748270)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケロイド / 組織培養 / 創傷治癒 / モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に基づき、インフォームドコンセントを得たケロイド患者を対象に、ケロイド切除術を実施の際、切除されたケロイド組織を採取、そこから組織円柱組織を切り出し、オーガンカルチャーを試みた。直径3mmパンチでケロイド組織円柱を全層で採取する。この円柱を高さ5mmとなるよう下床をメスにて切除した。低温下で培養皿底面にメピオールジェル層を作成後、コラーゲンスポンジ(140℃熱架橋、平均孔径25マイクロm)を設置。その上に、ケロイド組織円柱を垂直に立つように静かに設置、ただちに温度を常温にし、ゲルを固化させ、円柱を固定する。WE培地を添加し、気液界面培養を行った。2日目の肉眼所見で組織に融解が認められたため、サンプリングして病理学的観察を行った。その結果、組織内に壊死が発生していたため、これ以上の経過観察は中止し、次の症例でやり直すこととした。この後、症例数を3例増やしても同様の結果となるため、組織培養条件の見直しを行った。 具体的には、コラーゲンスポンジの除去やメピオールジェルの除去を行ったが、やはり壊死が生じ、結果は改善しなかった。 このため、ケロイド病変部の中で病的活動性の高い部位を選んで円柱を作成することを検討した。組織円柱作成は、ケロイド手術後直ちに実施する必要があるため、病変部内の病的活動性が高い部位を選択するためには、術前にその評価を非侵襲的に実施する必要があった。このため、術前にケロイド病変部内の状態の評価法をケロイド4症例で検討したところ、超音波診断器機を用いて剪断波伝搬速度を測定することによりケロイド内部の活動性が評価できることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bagabirら(Exp. Dermatol,21,376-381,2012)の方法に基づき、それを改善した手法で組織培養を試みたが、成功しなかった。そのため、Bagabirらの原法で実施したが、再現性は得られなかった。これは当初予期していなかったことではあるが、Bagabirらの報告では、使用しているケロイド組織が黒人由来のもので、本研究課題では黄色人種である日本人のみである。ケロイドの重症度は、白人より有色人種の方が重症となりやすく、有色人種の中でも黄色人種より黒人の方が重症となる傾向にあるため、人種間の病態特性が影響している可能性が高いと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ケロイド組織円柱の高さを、当初の5mmから減少させ、4mmと3mmで検討を行う。 また、術前に超音波診断器で剪断波伝達速度を測定し、組織内部で病変活動性の高い部分をマーキングしておき、同部より組織を採取することとする。以上より、すみやかにケロイド組織培養系の確立を目指す。また、このような改善、工夫を行っても、日本人組織を用いてケロイド組織培養が実施できない場合に備えて、組織培養系にかわる新たなモデルの検討も実施する。
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Research Products
(2 results)