2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性糖脂質を利用した細菌性肺炎の制御法探索とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
15H05017
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小田 真隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00412403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00594350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機能性糖脂質 / ビザンチン / 好中球 / NETs / 細菌性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
「歯科領域 第三の感染症」とも称される誤嚥性肺炎を含む肺炎は,耐性菌の増加と人口動態の高齢化に伴い増大・重症化する傾向にある.ついに平成25年度は,日本人の死因第3位が肺炎となった.申請者は,免疫賦活剤の癌治療や感染症予防への応用を目指し,約10年間,免疫賦活効果を有する機能性糖脂質の開発を進め,新規機能性糖脂質(ビザンチン)の合成に成功した(論文4報,特許3件).また,挑戦的萌芽(平成26~27年)の分担研究に従事し,口腔内感染症への転用を志向した解析を進め有効な知見を得た.本研究では,「機能性糖脂質による肺炎予防の試みとメカニズム解析」と位置づけ,申請者らが開発した機能性糖脂質の肺炎予防および治療薬としての実用性とメカニズム検証を行う基礎的研究を推進した. 平成27年度は,ビザンチンのヒト好中球に対する作用について解析を行った.その結果,ビザンチンを添加した好中球の一部から核酸を主な構成成分とする細胞外捕獲網(NETs)を形成していること,さらに,このNETsには抗菌ペプチド(LL37)が結合しており、肺炎起因菌である黄色ブドウ球菌,緑膿菌,肺炎球菌の活動を弱らせる働きがあることが明らかになった.また,ビザンチンを前投与したマウスでは未投与マウスと比較して緑膿菌皮下投与による致死を有意に抑制していることが判明した.ビザンチン投与マウスの好中球がNETs形成を引き起こしているか否かは未解決であるため,平成28年度以降に解析する. Vizantinのトレハロース部位を硫酸化あるいはリン酸化することにより,水溶性および免疫賦活効果が向上することを明らかにし,この新規化合物については特許出願中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していたビザンチンの好中球活性化作用に関する研究では,ビザンチンで活性化した好中球の一部からNETsが形成され,黄色ブドウ球菌,緑膿菌,肺炎球菌などの肺炎起因菌の感染拡大を抑制することを明らかにした.動物実験においてもビザンチンの有効性に関する結果が得られているが,詳細については次年度に解析予定である.また,新たな免疫賦活剤の開発に成功し特許も出願していることから,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
ビザンチン投与マウスにおいて免疫賦活作用が認められたことから,末梢血好中球のNETs形成割合やサイトカイン産生量の測定などを行う.研究計画が順調に進んでいるため,肺炎モデルマウスの作製も同時に行う.さらに,ビザンチンのマクロファージや好中球活性化メカニズムについてC型レクチン受容体に注目し,以下の項目について解析する. (1) マクロファージ系細胞のC型レクチン受容体(Mincle,Dectin-2など)をCRISPR技術で細胞を処理し,ノックアウト細胞を作製する.ノックアウト細胞に機能性糖脂質やその誘導体を作用させ,細胞からのサイトカイン・ケモカイン遊離量および貪食機能を指標に機能性糖脂質と密接に関与するC型レクチン受容体の探索を行う.(担当:小田・土門・大学院生2名) (2) HEK293T細胞にC型レクチン受容体発現プラスミドをトランスフェクト後,発現をウエスタンブロティングおよびPCR法により確認し,機能性糖脂質刺激によるサイトカイン・ケモカイン遊離量を測定する.(担当:小田・土門・大学院生2名) (3) 機能性糖脂質刺激マクロファージ系細胞内の遺伝子発現に関してDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析する.特に,C型レクチン受容体関連遺伝子に焦点を絞りデータマイニング技術を用いて解析する.(担当:小田・寺尾・大学院生2名) (4) C型レクチン受容体の下流に存在するシグナル伝達タンパク質(Syk,ZAP-70,PLC-γ1,PDK1など)の活性化(リン酸化)と機能性糖脂質によるサイトカイン・ケモカイン遊離亢進作用や貪食機能亢進作用との関係について,各種阻害剤やsiRNA,そしてイメージングフローサイトメーターを用いて解析する.(担当:小田)
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Chemical Hybridization of Vizantin and Lipid A to Generate a Novel LPS Antagonist.2016
Author(s)
Yamamoto H, Oda M, Kanno M, Tamashiro S, Tamura I, Yoneda T, Yamasaki N, Domon H, Nakano M, Takahashi H, Terao Y, Kasai Y, Imagawa H.
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Journal Title
Chem Pharm Bull
Volume: 64
Pages: 246-257
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Clostridium perfringens Alpha-Toxin Induces Gm1a Clustering and Trka Phosphorylation in the Host Cell Membrane.2015
Author(s)
Takagishi T, Oda M, Kabura M, Kurosawa M, Tominaga K, Urano S, Ueda Y, Kobayashi K, Kobayashi T, Sakurai J, Terao Y, Nagahama M.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0120497
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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