2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグシグナル伝達系は末梢神経再生を誘導する
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15H05041
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
大峡 淳 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)
紙谷 義孝 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90381491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘッジホッグシグナル伝達系 / ソニック / 三叉神経 / Gli-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経切断または損傷後に生ずるワーラー変性の過程において、損傷神経断端部とそこからシュワン細胞が連続して配列することから、これらの組織の間には何らかの情報伝達が存在していると考えられる。そこで神経再生過程におけるヘッジホッグ蛋白とその受容体の関与の可能性を検討することを目的とした。 その結果、ソニックヘッジホッグシグナルのリガンドであるShhは、神経損傷後切断部中枢側断端と末梢側の切断神経で発現していた。ソニックヘッジホッグシグナル活性のマーカー転写因子であるGli1も、Shhと同様の発現パターンを示した。サイクロパミンによりソニックヘッジホッグシグナル系を抑制させると、再生軸索は異常な走行を行い、三叉神経節におけるDiI陽性細胞数は減少した。これは神経再生における軸索結合が、ソニックヘッジホッグシグナル系の抑制により障害されたことを示している。一方で、このサイクロパミンによるソニックヘッジホッグシグナル抑制は、中枢側断端の幼若シュワン細胞数を増加させるが、末梢側でのシュワン細胞数は増加させなかった。切断神経の末梢側においては、サイクロパミンによるソニックヘッジホッグシグナル系の抑制で、マクロファージ数の減少とミエリン蛋白の残存が認められた。 以上により、ソニックヘッジホッグシグナル系は末梢神経切断後、幼若シュワン細胞で活性化し、その活性はオートクラインで調節されていることが明らかとなった。したがってソニックヘッジホッグシグナル系は末梢側を再生軸索の伸長に適した環境に整える機能を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの下歯槽神経切断モデルを用いて、末梢神経切断後にソニックヘッジホッグがGli1を介して下歯槽神経再生に関与していることを雑誌に報告することができた。すなわち末梢神経損傷後の早期の神経再生過程において、明かにソニックヘッジホッグとその受容体へのシグナル伝達系の関与を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
骨組織に囲まれていない坐骨神経を用いる。同神経を全身麻酔下で切断し、手術後14日で潅流固定する。坐骨神経を長軸方向に観察する切片を作製し、神経軸索マーカーであるNeuNやミエリンマーカーであるMBPにて免疫染色を行い、軸索の再生状態を観察する。運動機能回復の観察のために、ローターロッドテストまたはワイヤーハンギングテストの行動解析を行う。感覚機能回復、ならびに異常感覚の有無を評価するために、von freyテストを行う。またオトガイ部の電気刺激を行い、顎二腹筋における下顎反射の潜時、または体性感覚野に生ずる誘発電位を測定し、非切断側との比較を行う。形態的反応としては軸索伸長・最髄鞘化が終了する術後30日で切断遠位部のサンプルを採取し、上膜内全軸索中の再生軸索の割合、最髄鞘化の程度、炎症性細胞の残存を評価する。
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Research Products
(2 results)