2015 Fiscal Year Annual Research Report
要介護,認知症,転倒の予防への歯科的貢献を目指した多地域大規模追跡研究
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15H05059
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
山本 龍生 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20252984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克則 千葉大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20298558)
相田 潤 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80463777)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多地域大規模追跡調査 / 歯科口腔保健 / 要介護状態 / 認知症 / 転倒 / 健康寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界でトップクラスの長寿国となった日本では,いかに健康寿命を延ばすかが課題となっている。我々は歯数が少ないことや義歯を使用しないといった口腔の不健康がその後の要介護状態,認知症発症および転倒のリスクを高めることを報告した。本研究ではこれらの研究を発展させて,歯科から健康寿命延伸に寄与するためのさらに強いエビデンスを得るため,(1)既に論文発表をした歯科保健から要介護状態,認知症および転倒に至る経路をさらに対象自治体数を増やした大規模データで確認すること,および(2)歯科保健から要介護状態,認知症および転倒に至る経路における歯科保健行動や社会的背景要因の影響を検討することを目的とする。特に,因果関係の推論をさらに強くするために最終的に3時点パネルデータを用いた分析を行うこととした。 今年度は主に2016年度に実施する調査に向けて準備を行った。対象者は2010年と2013年の日本老年学的評価研究(JAGES)の両方に参加し,歯科の項目を含む調査票に回答した20自治体に居住する65歳以上の要介護認定を受けていない12,000名とした。歯科保健と要介護および認知症との関係については,対象者における要介護認定および認知症を伴う要介護認定(認知症発症)のデータ(認定日)を入手するために自治体への依頼を行い,2016年度調査の実施とともに対象全自治体から提供を受けることとなった。歯科保健と転倒との関係については,2016年調査のための調査票の設計を行った。また,2013年調査における転倒のデータと2010年調査における歯数・義歯使用のデータを入手し,2012年の論文発表と類似の分析を行い,愛知県以外の集団においても歯数・義歯使用がその後の転倒に関連することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に2016年度に実施する調査に向けての準備を予定していたが,予定どおり対象全20自治体で実施できることとなり,その意味では順調に進展しているといえる。しかし,調査対象自治体からの要介護認定および認知症を伴う要介護認定のデータ提供については,了解が得られたもののその入手は2016年度調査の時となったために,今年度実施する予定であった予備分析を行うことができなかった。なお,歯科保健と転倒に関しては,予備分析を行い,愛知県で得られた先行研究の一般化,すなわち日本国内の他地域でも同様の結果が得られることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度には予定どおり調査を行い,2016年における歯科保健状態,転倒および調整変数に関するデータの収集を行う。対象者は2010年と2013年の日本老年学的評価研究(JAGES)の両方に参加し,歯科の項目を含む調査票に回答した20自治体に居住する65歳以上の要介護認定を受けていない12,000名とする。調査会社を通じて,自治体と協力し,対象者に質問紙を郵送し,郵送によって回収する。回収された質問紙は調査会社で入力を行い,データクリーニングを行う。 歯科保健と要介護状態,認知症発症との関係については,対象者における要介護認定および認知症を伴う要介護認定(認知症発症)のデータ(認定日)を2016年調査とともに自治体から入手する。 2016年度から2017年度にかけて2010年-2013年-2016年の3時点パネルデータを作成し,さらに地域の社会的背景要因のデータを追加したデータセットを完成させて,歯科保健から転倒に至る経路の分析を行う。また,2010年-2013年に要介護認定および認知症を伴うよう介護データを連結したデータに地域の社会的背景要因のデータを追加したデータセットを完成させて,歯科保健から要介護および認知症に至る経路の分析を行う。 なお,データセット完成に至る過程で,2010年-2013年パネルデータで転倒に関する予備分析を継続するとともに,可能であれば2013年と要介護認定および認知症を伴う要介護認定データで予備分析を行う。また,本研究をさらに発展させるために,歯科からの介入研究を行う可能性および準備について,関連機関等と検討を行う。
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