2016 Fiscal Year Annual Research Report
心拍変動解析を用いた全身麻酔後の安全な早期離床の新たな評価指標の確立
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15H05076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸山 良子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10275498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10431595)
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体位変換 / 自律神経活動 / 心拍数 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後患者は、可能な限り早期から離床を行うことの効果は明らかになっている。意識レベルは呼名反応や従名動作などにより評価することができるが、循環動態の評価は困難な場合が多く、心拍数や血圧が安定し、意識レベルの改善が確認できた患者に、離床のための体位変換を行なった際、突然の徐脈による血圧低下、眩暈、失神など患者に不利益な症状が出現することがある。これは、全身麻酔による術後の自律神経活動の変化がもたらしている可能性があるがよくわかっていない。本研究の目的は看護師が主体的に早期離床を安全に行うために必要な科学的評価指標を得ることである。今年度、われわれは健康な若年成人と高齢者を対象に、年齢と性別を評価に加え、仰臥位から左右側臥位への体位変換が循環動態と自律神経活動にもたらす影響を評価した。平均年齢22~23 歳の男女各29名と平均年齢72歳の女性27 名、平均年齢76歳の男性18 名を対象に仰臥位から左右側臥位への体位変換を行い評価した。その結果、いずれの年齢、性別ともに左側臥位時に心拍数の低下を認めた。自律神経活動は、男女若年成人と高齢女性群のいずれも体位変換による有意な変化を示さなかったが、高齢男性群のみ右側臥位時の交感神経活動が低下し、年齢と性別が体位変換時の自律神経活動に影響をおよぼす可能性を見出した。この結果は、これまで高齢者が睡眠時に右側臥位でいる時間が長いこと、うっ血性心不全患者がベッド上で右側臥位になる確率が高いなど観察されていることを、理論的に説明できる結果と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定の対象を若年健康成人に加え、呼吸、循環器疾患の既往のない高齢者の測定を行うことができ、年齢にかかわらず体位変換による循環導体と自律神経活動の影響を評価することができた。また、結果は国外で学会発表を行い評価を得た。さらにこれまでの結果を英文雑誌に投稿し受理されており、研究の進捗は順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
患者の評価を行う上で、まず基準となる健康成人の体位変換時の循環導体及び自律神経活動の変化を評価しておくことは、極めて重要である。今後さらに例数を増やし、データの信頼性を高めたいと考えている。さらに非心臓手術患者の自律神経活動評価の準備を行なっており、まもなく術後患者の自律神経活動の回復状況の測定を行える見込みである。これまでの結果を国内外の学会で公表するとともに、若年健康成人と高齢者の測定結果をもとに、年齢と性別から見た体位変換時の循環動態と自律神経活動評価の結果を論文として公表したいと考えている。
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Research Products
(2 results)