2017 Fiscal Year Annual Research Report
災害時のリスク低減に活かす“在宅ケア3ワークモデル”の開発
Project/Area Number |
15H05099
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
大野 かおり 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20300361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
造田 亮子 名寄市立大学, 保健福祉学部, 助教 (20552566)
西上 あゆみ 梅花女子大学, 看護保健学部, 准教授 (30285324)
馬場 美智子 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (40360383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 在宅看護 / 災害看護 / リスク / 3ワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はリスクマネジメントの視点から,災害時のリスクを低減するための「在宅ケア3ワーク(チームワーク,ネットワーク,フットワーク)モデル」を開発することを目的としている。 これまでに文献検索とWEB調査で導き出した78項目のリスク(フォルトツリー解析でのトップ事象)候補を,平成28年熊本地震の際に活動した被災地の在宅ケア提供者16名に対して行ったインタビュー調査により,リスク(トップ事象)として精錬した。さらに精錬されたリスクより,研究プロセスの次の段階にあたるリスク発生要因の抽出に着手した。 平成29年度は, 抽出されたリスクより,フォルトツリー図(案)を完成させ,平成28年度のインタビュー調査協力者に提示しコメントを得て,その妥当性を検討した。 フォルトツリー図では,頂上事象として『命がなくなる』,その下に『心停止』『肺停止』を置き,それぞれについて基本事象を導き出した。『心停止』には,『心臓の圧迫』『外傷等により出欠多量』『過重な心負荷』の事象が配置され,分析を進めた結果,療養者が生活する環境,家族,コミュニティ,ケア提供者に関連した基本事象が導き出された。『肺停止』では,『呼吸ケアが受けられない』という事象とその下に「社会的資源」「人的資源」「物的資源」の事象が配置され,分析を進めた結果,心停止と同様に療養者が生活する環境(医療機器を含む),家族,コミュニティ,ケア提供者に関連した基本事象が導き出された。基本事象を基に,リスク解決策を在宅3ワークの視点で抽出する作業に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
試練されたリスク(トップ事象)より,フォルトツリー図を完成させ,リスクの基本事象を抽出できた。 在宅ケア分野では,災害時要援護者のうち「要配慮者」に関する支援は事例を中心にした研究が多いうえ,「避難行動要支援者」への支援については,マニュアルやガイドラインという形での報告はあるが,リスクマネジメントの視点で科学的に分析した研究により導き出された方策は見受けられない。今年度は,リスク分析により在宅療養者の命を守る科学的な方策開発の基盤となるリスクの基本事象を抽出することができ,最終年度の研究遂行の見通しが立てられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,①予備調査および文献検討およびWEB調査をもとに導き出したリスクの概念枠組みをもとに,②熊本地震被災地での聞き取り調査を行い,その結果を③フォルトツリー解析を用いて分析しリスク発生要因を摘出する。抽出されたリスクおよびリスク発生要因よりリスクの解決策を摘出し,④リスクの解決策を在宅ケア3ワークに関連づけて分類する。分類した結果を⑤実践者を対象とした調査により精錬し3ワークモデルを創る。 これらのプロセスのうち,平成30年度は④⑤を実施する。つまり,フォルトツリー解析より得られた結果を在宅ケアの3ワーク:「チームワーク」「ネットワーク」「フットワーク」に分類し解決策の可視化・精錬を行い,“在宅ケア3ワークモデル”を構築する。
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Research Products
(3 results)