2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a land surface - dust emission process model based on a detailed observation in the Gobi Desert
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15H05115
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
黒崎 泰典 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (40420202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 正秀 香川大学, 工学部, 准教授 (50324992)
西原 英治 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452544)
中村 公一 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (90530642)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境変動 / 自然災害 / 黄砂 / 砂漠化 / 乾燥地 / ゴビ砂漠 / 風食 / ダスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研開始前から、ゴビ砂漠(モンゴル)において黄砂発生解明のための観測を実施してきた。この観測から、(1)クラストの形成・崩壊、(2)レキの有無、(3)地形(谷底が黄砂発生ホットスポット)、(4)谷底植生量が黄砂発生量の多寡を決定する重要なパラメータであることが分かってきた。 毎年、上記(1)~(4)を解明するため、春(4-5月)の黄砂シーズンに集中観測を実施し、さらに学内予算などによる調査や研究協力者(IRIMHE, モンゴル)の協力を得ながら、夏と翌年春(3月)にデータ収集および植生調査を行っている。これまで、雨の多い夏(2015, 2016年)と少ない夏(2017年)のデータ取得が出来た。 本科研1年目に森林総研の飛砂風洞において、飛砂のクラスト破壊の実験を実施したが、より詳細な実験条件設定を吟味するため、飛砂のクラスト破壊(クラスト強度)を測定するため砂落下装置、飛砂一粒の動きを捉えるためのエアーガンを開発した。これまで、エアーガンを用いた飛砂のクラスト破壊様子の観察、砂落下装置を用いたクラスト強度の測定を行った。 研究協力者(IRIMHE)とこれまで、米国NOAAなどが開発したエアロゾルモデルWRF-Chemに異なる地表面条件(植生、土壌)を設定し、広域地表面条件のダスト発生の感度実験を実施してきたが、モンゴル観測サイトの結果のみを効率的に吟味できるように、WRF-Chemのサルテーション部分だけを切り出したBox Model(0次元の軽量モデル)を作成した。広域数値実験を行うために必須となる地表面データについて、ネット公開されているSoilGridsデータを用いたレキ効果、地形効果(谷底効果)の実験設定について吟味を行った。これらについては、随時、連携研究者(気象研究所)の黄砂数値モデル開発者から助言をもらい、研究方針を決めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、春(4-5月)にモンゴル現地観測を実施した。2015-2016年の夏が比較的降水が多かったため、現地の特に谷底において枯れ草が多く残っていた。残念ながら例年と比べて強風イベントが少なく、十分なデータを取得出来なかったが、5月3日に発生した砂塵嵐については、風速、飛砂のデータを取得した。2017年の夏は降水が少なく、2018年3月には黄砂発生ホットスポットと考えられる谷底の枯れ草が大幅に減少していることを確認した。 クラスト形成・崩壊の実験については、2016年度作成のエアーガンを用いて飛砂のクラスト破壊の様子の観察を行った。また、砂落下装置を用いて、クラスト強度の測定を行った。この実験を実施する際、モンゴルから持ち帰った土壌(植防手続き済み)を用いて供給水分量の異なるクラストを作成した。この実験から、供給水分量が多いほど固いクラストが形成されることを示すことが出来た。これらの実験から当初予定していた飛砂風洞実験の準備が整った。 エアロゾル数値モデルWRF-Chemを用いた実験では、入力する地表面データについて、ネット公開されているSoilGridsデータを用いたレキ効果、地形効果(谷底効果)の実験設定について吟味を行った。WRF-Chemからサルテーション部分のみを切り出したBox Modelを作成し、様々な地表面条件の応答実験を実施できる準備が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
春の黄砂シーズンの現地調査を実施し、さらに地表面状態の違い(クラスト、レキ、植生)の調査から、これらの地表面状態と黄砂発生の関係を明らかにしていく。本科研費が始まって、雨の多い夏が2年連続したが(2015, 2016年)、昨年は雨の少ない夏(2017年)であったことから、2018年春(4-5月)の観測結果と2016, 2017年春の観測結果を比較することで、黄砂発生ホットスポットにおける植生の黄砂発生への影響を定量的に明らかにできると期待できる。夏の現地調査については、研究代表者と研究協力者(IRIMHE, モンゴル)によって、データ回収、再セッティング、植生調査などを実施する。 室内実験は、昨年度までの実験結果をベースにして、前年度までに実施予定であった森林総合研究所の飛砂風洞を用いた実験を実施し、気象環境、土壌粒径、塩基によるクラスト形成・崩壊の違いを明らかにしていく。 連携研究者らの協力を得ながら、観測、実験で得られた結果の数値モデルへの応用(精度向上の試み)を実施する。WRF-Chemからサルテーション部分のみを切り出したBox Modelを用いた実験とSoilGridsデータを用いたレキ効果、窪地効果(地形効果)の実験のいずれかを実施する。
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Research Products
(12 results)